研究課題/領域番号 |
24593458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 西武文理大学 |
研究代表者 |
唐田 順子 西武文理大学, 看護学部, 准教授 (60440012)
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研究分担者 |
山田 和子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (10300922)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 児童虐待 / 発生予防 / 産科医療機関 / 助産師・看護師 / 気になる親子 / リスクアセスメント / 連携 / 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ |
研究概要 |
産科医療施設に勤務する看護職者を対象にインタビュー調査を行った。33人の研究協力者が得られた。当初、周産期母子医療センター、総合病院、産科単科病院・診療所の3つの施設に分け、質的に分析予定であったが、周産期母子医療センターと総合病院に勤務する看護職者の語りが類似していたため、“総合病院”として分析した。今年度は、看護職者が、親子に対して「気になる」と感じ、他機関に情報提供するケースとして確定するプロセスを分析した。 結果1総合病院:38の概念、8つのサブカテゴリー、6つのカテゴリーが生成された。総合病院におけるプロセスは、看護職者が親子のサインに気づいて、あるいは情報が定型因子に合致して、追加情報によりリスク状況を確認した後に行われる、【長期的な視座に立ち子育てを見据える】ことを中心としたものであった。これは、退院後の子育てを見極め、地域での支援の必要性を含めチームで情報提供をするか否かの結論を出すことであった。 結果2産科単科病院・診療所:31の概念、1つのサブカテゴリー、8つのカテゴリーが生成された。産科単科病院・診療所におけるこのプロセスは、看護職者が親子のサインに気づいた後、リスク状況を確認するために看護職者間で情報共有しているうちに担当者が決まり、その【担当者が確認・判断・対応を担う】ことを中心としたものであった。担当者はリスク状況を確認し、退院後の子育てを見据え「気になる親子」と判断し、同意を得て情報提供ケースとして確定していた。その確定プロセスには、【院長という権限者の方針】から大きな影響を受けていた。 児童虐待の発生予防が注目される昨今、産科医療施設でのリスク発見のプロセスが明らかになったことは、そのための対策を検討するうえで意義深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は文献検討を経てインタビュー調査を実施し、全ての分析を終了する予定であった。しかし、当初予定の分析テーマが大きすぎることが判明し、分析テーマを2つに分割した。そのため分析作業が倍となった。今年度は2つの分析テーマのうち、1つについて、総合病院、産科単科病院・診療所の2つの分析を終了した。データを収集してから生じた変更点であり、2つの分析を終了できたことは今年度の計画通りであり、順調に研究作業を進められている。 研究実績でも述べたように、総合病院、産科単科病院・診療所における“看護職者が、親子に対して「気になる」と感じ、他機関に情報提供するケースとして確定するプロセス”について、その構造が明らかになり、リスク発見に向けての対策を検討することができ、目的は達成されたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の作業は順調に進められたが、データ分析を開始後、分析テーマを2つに分割せざるを得ない事態が発生し分析作業が2倍となった。そのため2つの分析テーマの分析作業が平成25年度に持ち越しとなった。研究計画の3年目は総合考察のみと余裕をもたせてあるため、全ての研究を3年間で終了することは可能である。 平成25年度前半期は、質的研究の残り2つの分析・考察を行う。後半期は、質的研究をもとに、産科医療施設の量的調査、保健機関の量的調査の質問票を作成し質問紙調査を実施する。 平成26年度は、質問紙調査の分析・考察および質的調査を含めた総合考察を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は質問票による量的調査を計画しているため、質問票の印刷・郵送に関わる費用を82万円、データ入力等の人件費を84万円、研究者間での会議開催のための旅費を18万円、図書・文具等の物品の購入を26万円、合計210万円を予定している。
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