【目的】増加しつつある職域、医療、介護分野に所属する保健師の現状、並びにその役割を明らかにし、コアとなる能力を探索することである。 【方法】郵送式自記式質問紙調査法とした。対象者は、近畿地方2府4県の職域(企業、事業所) 455社、医療(病院) 925施設、介護(地域包括支援センター) 693か所の保健師とした。調査期間は2014年11月中旬~12月末であった。医療分野及び職域分野については回収率が低かったため、2014年12月下旬~2015年3月末にかけて追加調査を行った。調査内容は、職域・医療・介護分野で保健師として雇用されている者の業務内容、役割、既存の保健師の能力を測定する尺度を使用した。本研究は、所属大学研究倫理委員会における審査と承認を得て実施した。 【結果】回答があったのは、職域131名(返送率28.9%)、地域包括支援センター (以降、地域包括とする)300名(43.3%)、病院463名(50.0%)であった。保健師がいると回答があったのは、職域17名(13.0%)、地域包括 184名(61.3%)、病院40名(8.6%)であり、分野による保健師の有無の割合には大きな違いがあった。追加調査においても、医療分野11.4%、職域分野18.8%であり、介護分野の割合が最も多かった。所属部署と業務内容は、職域分野と医療分野では所属部署が健診センターや健康管理室である場合は、健診に関する業務が多く、介護分野は地域包括支援センターに所属しケアプラン作成・管理が多かった。保健師として困難を感じていることは、職域分野と医療分野では「保健師としての人事評価システムが整理されていない」という項目が多いことが共通していた。 職域・医療・介護分野について、各分野の現状について、所属部署と業務内容から求められている役割の現状と困難と感じている内容等を明らかにすることができた。今後詳細な分析を行い、保健師のコアとなる能力を探索し基礎教育内容に活かしていく予定である。
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