研究課題
本研究は、中高生を対象とした前向きコホート研究を通して、思春期のインターネット依存傾向の実態を調べる同時に、インターネット依存傾向のリスク要因及び依存傾向が思春期の心身健康に与える影響を明らかにし、その結果に根拠にインターネット依存症を予防するための教育プログラムの構成要素を検討することを目的とした。H24年12月からH25年1月の間、広島県呉市にある6つの中学校と5つの高等学校の生徒3170人を対象に自記式質問票によるベースライン時調査を実施した。その結果、約18%の生徒が中度のネット依存傾向があり、0.7%に重度のネット依存傾向があった。ネット依存傾向の割合は、男子生徒より女子生徒に、低学年より高学年に高かった。ネットの利用時間が長い、親と一緒に暮らしていない、部活に参加しない、ネット友達が多い、掲示板やチャットや性に関するサイトを頻繁に利用することはネット依存傾向に有意な関連があった。H25年12月からH26年1月の間に追跡調査を実施した。ベースライン時とリンク出来た1826人のデータについて分析した。その結果、ベースライン時にネット依存傾向がある群はない群より、夜12時以降に就寝する、起床時間が遅い、睡眠時間が6時間未満の生徒が有意に多かった。また、中学生ではネット依存傾向がある群では、部活動に参加しない生徒、毎日の勉強時間が2時間未満の生徒、家事の手伝いをあまりしない、家族と会話や行動をあまり一緒にしない、休日は一人でごろごろしながら家で過ごす生徒が有意に多かった。そして、ネット利用時間が1年前より大部長くなったと答えた生徒にはネット依存傾向のある割合が高かった。また、交絡要因を調整しても、ベースライン時に情緒問題、行動問題、多動性などのメンタルヘルスに問題がある生徒は、1年後にネット依存傾向になる確率が有意に高かった。
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思春期学
巻: 33 ページ: 未定