研究課題/領域番号 |
24593466
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研究機関 | 新見公立大学 |
研究代表者 |
矢庭 さゆり 新見公立大学, 看護学部, 准教授 (40390249)
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キーワード | 要援護高齢者 / ソ-シャルサポ-ト / 精神的健康 |
研究概要 |
本研究は、要援護状態にある高齢者(要援護高齢者)を対象に、ソーシャルサポートと自尊感情および精神的健康との関連を明らかにすることを目的としている。 平成24年度は、国内外のソーシャルサポートに関する研究動向として、分野を限定せずに関連する研究報告を整理した。合わせて、1地域の要援護高齢者を対象とした調査結果を2つの学会誌に発表した。これらの結果から、要援護高齢者は、他者からのソーシャルサポートを受領する機会が増える一方、その返報として他者に対してサポートを提供することが困難になる。したがって、要援護高齢者においては、ソーシャルサポートの受領に対して十分な返報ができないことから生じる心理的な負債感から、自己評価(自尊感情)を著しく低下させている者も少なくないことが示された。 平成25年度は、その結果をもとに要援護高齢者の介護予防に関する示唆を得るために、ソーシャルサポートと精神的健康との関連を明らかにすることを目的とし、本調査の実施準備に入った。現在、A県およびA県介護支援専門員協会に研究協力を依頼し、アンケ-ト調査の実施中である。調査票の回収ができしだいデ-タ解析に入る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、「ケアマネジメント学」および「インタ-ナショナル Nursing Care Research」「新見公立大学紀要」に計3本の論文を掲載した。さらに第71回公衆衛生学会にて結果の一部を発表した。 平成25年度は、「新見公立大学紀要」に論文掲載、第72回公衆衛生学会に結果の一部を発表した(13.研究発表参照)。さらに、本調査の実施に向けて、A県各市および介護支援専門員協会支部に協力を依頼し、新規の要介護認定を受けた高齢者を対象にアンケート調査を実施中である。本来であれば、平成25年度中に調査を終えている予定であったが、対象地域の選定および介護支援専門員協会支部への協力依頼に時間をかけたことにより、予定していた調査時期に遅れが生じた。調査票の回収ができしだい、平成26年7月にはデ-タ解析に入る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は最終年度であり、本調査のデ-タ解析を急ぐ。結果から、要援護高齢者におけるソーシャルサポートと精神的健康との関連を明らかにしたい。今年度中に早急に研究報告書をとりまとめ、協力市町村および介護支援専門員協会に報告書を配布する予定である。さらに、「日本公衆衛生学会」「日本老年社会学会」「日本ケアマネジメント学会」等の関連学会誌への投稿を予定している。本研究をまとめることにより、社会関係および精神的健康に関する要因が明らかになることで、今後の要援護高齢者における社会的側面からの心身を健康に保つことを可能とする示唆が提供されることが期待される。今後の要援護高齢者の支援に大きく貢献できるものと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
本来であれば、平成25年度中に調査を終えている予定であったが、対象地域の選定および介護支援専門員協会支部への協力依頼に時間をかけたことにより、予定していた調査の実施時期に遅れが生じた。そのために、調査の実施にかかる用紙代、郵送費、印刷費等の支払が次年度に繰り越されたためである。 上記理由により、平成26年度に繰り越されて使用する。
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