研究課題/領域番号 |
24593468
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
渡邉 知子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20347199)
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研究分担者 |
中村 令子 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (60227957)
荒木 美千子 日本赤十字秋田看護大学, 看護学部, 准教授 (60249050)
藤田 あけみ 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (30347182)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳血管障害患者 / 回復期リハ病棟 / 在宅移行 / 介護者 / 生活課題 / 主観的QOL / SEIQoL-DW |
研究概要 |
本研究は,回復期リハビリ病棟から在宅移行する患者と介護者、それぞれの主観的QOLを構成する要因から生活の再構築する上での課題を明らかにすることを目的としている。主観的QOLは数量(index値)での評価と同時に被験者が「生活の中で大切にしている領域」を5つのキューで質的に明らかにすることが可能なSEIQoL-DWを用いて評価を行い,1)退院時と在宅移行後4~6ヶ月の患者の主観的QOLおよび,健康関連QOLの変化,2)退院時と在宅移行後4~6ヶ月の患者在宅移行後4~6ヶ月の介護者の介護者の主観的QOLと介護負担感の変化,3)二時点の患者と介護者の主観的QOLの違いを3年間で明らかにすることにしている。 初年度の平成24年は北東北の回復期リハビリテーション病棟5施設で患者と介護者を1組とする第1次調査(退院時調査)を開始し,13組の第1次調査が終了した。 分析が終了した8組の結果,回復期リハビリ病棟を退院する患者(男性6名,女性2名,平均年齢60.0±10.9歳,平均FIM得点116.3±7.8点)の平均index値は59.5±14.5%であった。発症前より同居し,在宅移行後の介護者(平均年齢55.3±11.5歳,全員女性,配偶者5名,子1名,子の配偶者1名,親1名)の平均index値は34.4±16.7%で,患者に比較して介護者の主観的QOLが低い値を示す傾向にあった。また,SEIQoL-DWを構成するキューについては,ほとんどの患者と介護者から「家族」「生計(家計)」「今後の生活」「健康」が挙げられ,「嗜好品」「自分自身の時間」などを挙げた者は1~2名に留まった。これらのことから,回復期リハビリ病棟からの退院時には,患者と介護者はお互いに,今後一緒に生活する「家族」と,暮らしていくための「経済」を重視している傾向が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的の達成度は,概ね研究計画通りに進行しているものと考えられる。その理由として,1)研究方法,2)調査依頼施設の研究結果に対する期待,が挙げられる。 1)は,当該課題の研究方法で(1)調査実施施設への負担軽減(2)対象者(患者,介護者)への負担を最小限度に留めた方法を採用している点にある。特に(1)に関しては,施設の担当者への依頼事項は,対象者の選定,紹介,インタビュー実施スペースの確保の3点に限定し,施設の担当者を決め密に意思疎通を図っている。また,対象となる患者および,介護者の選定基準,研究者と施設の担当者の役割分担についてのチャートを作成し共有している。このため,病棟業務への負担は少なく,選定基準を満たした対象者候補の有無,退院情報,介護者の来院情報等の円滑な情報提供を受けることが可能となっている。(2)に関しては,患者,介護者ともに20~30分程度のインタビュー時間であるため,リハビリテーション終了後や面会時間内に実施可能であり,理解と協力が得られている。 2)は,回復期リハビリ病棟の看護スタッフが入院中より在宅移行後の生活を視野にいれた看護介入を実践するためのエビデンスが乏しいことから、本研究課題の結果を看護実践に活用すること希望している。回復期リハビリ病棟看護の目的とする「生活の再構築」を実践するための基礎的資料に資する研究課題であり、調査依頼施設の研究成果に対する興味を得られたことも,調査が円滑に進展している理由といえる。 上記,理由により調査の実施に最も重要な対象者の確保が円滑に行われていることが概ね研究計画通りに進展している理由と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目にあたり,研究組織の変更があった。研究2年目は,1)第1次調査と第2次調査のデータ収集,2)データ分析が中心となる。 1)のデータ収集は調査実施施設の確保により予定対象者数の確保は可能なものと考えられる。しかし、主任研究者,および,分担研究者の一人あたりの担当対象者数は多くなる。このため,データ整理,および,資料整理等はアルバイトを雇用することで各研究者の物理的時間的負担を軽減する対策を予定している。このことで,各研究者がデータ収集および,分析に充てる時間の確保を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度未執行による約40万円の繰り越し研究費があった。この研究費は以下の目的で使用を予定している。 1)研究組織の変更に伴う研究者1人あたりのデータ収集回数の増加に伴う国内交通費 2)各研究者のデータ収集,データ分析時間確保のためのアルバイト謝金 3)中間報告,および,データ分析終了後の国内外における成果発表に係る国外旅費,国内旅費,および,学会参加費
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