研究課題/領域番号 |
24593468
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
渡邉 知子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20347199)
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研究分担者 |
中村 令子 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (60227957)
荒木 美千子 帝京科学大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60249050)
藤田 あけみ 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (30347182)
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キーワード | 脳血管障害患者 / 介護者 / 生活課題 / 主観的QOL / 回復期リハ病棟 / 在宅移行 / SEIQoL-DW / 健康関連QOL |
研究概要 |
本研究は,回復期リハビリ病棟から在宅移行する患者の主観的QOLを構成する要因から生活の再構築する上での課題を明らかにすることと、健康関連QOL、介護者を目的としている。主観的QOLは被験者が「生活の中で大切にしている領域」を5つのキューで質的に明らかにすることが可能なSEIQoL-DWを用いて評価を行い,1)退院時と在宅移行後4~6ヶ月の患者の主観的QOLおよび,健康関連QOLの変化,2)退院時と在宅移行後4~6ヶ月の患者在宅移行後4~6ヶ月の介護者の介護者の主観的QOLと介護負担感の変化,3)二時点の患者と介護者の主観的QOLの違いを3年間で明らかにすることにしている。 北東北にある回復期リハビリテーション病棟を有する5施設から紹介された患者と介護者の第1次調査(退院時調査)は研究2年目にほぼ終了状態となり、また、第2次調査(在宅移行後4~6ヶ月)もすでに12組の調査が終了した。 調査の終了した12組の分析結果より,患者(男性9名、女性3名、平均年齢64.1歳、入院期間57.2±28.4日、退院時のFIM118.3±6.4点)は、退院時である第1次調査でのSEIQoL-DW index値は70.2±18.3、在宅移行後4~6ヶ月経過した第2次調査のSEIQoL-DW index値は70.8±17.4であった。一方、介護者(男性2名、女性9名、平均年齢57.5歳、配偶者8名、子または子の配偶者3名、親1名)のSEIQoL-DW index値は第1次調査44.1点±22.4から、第2次調査62.0点±12.4であった。患者の主観的QOLは変化がなかったものの、介護者の主観的QOLは、患者の発症、入院により影響を受け、患者の在宅移行後に伴い、回復したものと考えられた。また、患者と介護者ともにSEIQoL-DWのキューとして「家族」「健康」「再発しない」が挙げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的の達成度は,概ね研究計画通りに進行しているものと考えられる。その理由として,1)研究方法,2)調査依頼施設の研究結果に対する期待,が挙げられる。 1)は,当該課題の研究方法で(1)調査実施施設への負担軽減(2)対象者(患者,介護者)への負担を最小限度に留めた方法を採用している点にある。特に(2)に関しては、第1次調査実施時には、調査依頼施設とのコミュニケーションを図り、対象となる患者の入院生活やリハビリテーション療法時間に影響の生じない時間に実施している。また、介護者の来院時間等に合わせた調査実施を行っている。第2次調査の実施は、研究者が患者、および,介護者の希望に最大限沿う実施場所と月日時で実施している。そのため、対象者から研究協力を得ることが可能となっている。 2)は,回復期リハビリ病棟の看護スタッフが入院中より在宅移行後の生活を視野にいれた看護介入を実践するためのエビデンスが乏しいことから、本研究課題の結果を看護実践に活用すること希望している。回復期リハビリ病棟看護の目的とする「生活の再構築」を実践するための基礎的資料に資する研究課題であり、調査依頼施設の研究成果に対する興味を得られたことも,調査が円滑に進展している理由といえる。 上記,理由により調査の実施に最も重要な対象者の確保が円滑に行われていることが概ね研究計画通りに進展している理由と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年目、1)第2次調査のデータ収集,2)データ分析、3)成果発表を行う。1)のデータ収集は第1次調査終了した対象の在宅移行4~6ヶ月目の調査であるため、対象は既に確保されており、一定の人数への調査は可能なものと考えられる。2)については、定期的に班会議を開催し量的分析に加え、質的分析を行い、研究課題である「生活課題」を抽出する予定である。3)については、研究期間内に一定の成果を公表するために、各研究者が国内外での関係学術集会に演題応募を行っている。このため、研究費は、1)、2)、3)のための旅費と学術集会参加費が中心となる。また、各研究者がデータ整理、データ分析に充てる時間を確保するため、デジタル機器や通信用機材の購入、アルバイトの雇用により各研究者の物理的時間的負担を軽減する対策を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた分析ソフトが現行発売されているPCのOSでの使用で不具合が生じることがわかったため、分析ソフト、PCともに当該年度には購入するに至らなかったため。 次年度、PCのOSに対応した使用ソフトが販売されるのを待ち購入する予定である。
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