研究課題/領域番号 |
24593474
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
坂井 さゆり 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40436770)
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研究分担者 |
宮坂 道夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30282619)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | がん緩和ケア / 認知症緩和ケア / 医療倫理 / 教育プログラム |
研究概要 |
がんと認知症をともに持つ高齢者に対する緩和ケアについて、7 のモジュール(信頼関係となるコミュニケーション、個人史をふまえた対象理解、全人的ヘルスアセスメントと安楽の提供、倫理的検討をふまえた看護ケア、家族を含めた看護ケア、患者・家族が安心できる場づくり、チームアプローチ)を軸に、教材および教育プログラムの試案を検討した。ロールプレイ、動画でのイメージ化、ライフストーリーの作成、日常的な看護計画における倫理的検討等の教授法を工夫し、基礎教育、臨床教育双方で試案を部分的に活用しながら評価を繰り返した。また、日本緩和医療学会および日本がん看護学会では、自主セミナーに参加し、緩和ケアの効果的な教授法について発題し、当該領域のエキスパートとの意見交換、情報収集を行った。日本臨床死生学会では、エキスパートとしての卓越性に必要な要素である自己覚知について共同発表を行った。日本医学哲学倫理学会では、がんと認知症をもつ対象の倫理的諸問題について検討を行った。各種シンポジウムでは、がん看護学・高齢者ケアの各領域の教育・倫理的動向について情報収集を行い、教材について検討を加えた。意思決定が脆弱な高齢者のケアに関する問題は、多くの議論がある。経験していない「老い」をケア提供者が理解するためには、体験的な学習の要素が必要であると考えられた。「がんと認知症」をもつ対象理解のためには、視聴覚教材および事例を活用した教材の有効活用、また、遠方で施設を離れられないスタッフに対するインタラクティブな教育の必要性、看護者の態度に関する事項、ソーシャルサポートに関する事項が検討され、次年度に向けてさらに内容を洗練させていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教材およびプログラムの部分実施を行う中で、修正および新たに加えるべき事項が見出され、教材の有用性を再検討する部分があるが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
モデル病棟の看護職に対する教育プログラム実施の段階(教材の有用性)(研究代表者:坂井1~4、研究分担者:宮坂2~4)を1~4のように行う。臨床に従事する研究協力者による研究推進への協力を得ながら、参加意思の同意が得られた施設より随時進めて行く予定である。 1.施設責任者あてに研究参加者(病棟)募集の案内を行い、研究参加者を選定する。看護職総計100名程度、病棟は(一般病棟、療養病棟、緩和ケア病棟、がん拠点病院 各2か所程度)を予定している。2年間期間をずらしながら随時すすめていく。 2.教育プログラム実施<講義>:前後テストで知識の向上についての評価、教材のわかりやすさの評価を行い有用性について検討する。 3.教育プログラム実施<演習>:「がんと認知症をともに持つ高齢者に対する緩和ケア評価指標」を活用し、自己・自施設評価を行う。改善に向け目標設定および計画を立案する。 4.教育プログラム実施<実習>:演習で立案した目標および計画を実践する。施設責任者・病棟責任者の協力を得ながら行う。アウトカム評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定では、スクール形式の一方向性の教材を検討していたが、試行している中で、当事者視点への転換を学習するための動的な教材開発が必要であることに至った。教材として、WEB動画やDVD動画等の教材をいくつか試用している。できるだけ認知症高齢者の当事者視点からケアを考えるために、ドキュメンタリーを使用した教育を検討している。しかし、これまで外部施設で何回か試用したいと思い準備をしたが、ラン環境がないことで断念せざるをえなかった。本年度から次年度にかけ、学会や交流集会、また実際の研修会でWEB動画の教材活用について積極的な検討のために、WIMWX等の機材を購入し使用する。また、次年度に向けて、外部施設での現任研修の開催や、本学内での研修会を開催し、その効果を測定していく。学内での研修会は、学習効果をあげるために、単なる一方向性の講義形式ではなく、演習室でのインタラクティヴ・ティーチングを検討しており、動画やDVD等の視聴覚教材、イメージ化しやすい媒体の作成、小グループでの検討結果を表示し意見交換を行ったり、また、施設との遠隔講義を行ったりという方法で現在準備を進めている。そのために電子黒板機能を持つディスプレイを教育媒体として購入・準備し、卒前者、現任者に対する教育方法を試行しながら、本プログラムの実行可能性を検討していく予定である。
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