研究課題/領域番号 |
24593475
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
水野 恵理子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (40327979)
|
研究分担者 |
岩崎 みすず 飯田女子短期大学, 看護学科, 教授 (00461872)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 統合失調症 / 主体的回復 / 精神看護 |
研究概要 |
本研究の目的は、統合失調症患者が捉える病からの主体的回復の意味と回復過程における精神保健医療従事者の位置づけを、質的分析により明らかにし、患者の回復への意思を育むための看護援助プログラムを構築することである。 2012年度は、統合失調症患者の病識、回復、社会参加、エンパワメント、回復過程における看護に関する文献検討、海外クラブハウス訪問調査、国内面接調査の準備を行う計画であった。国内における看護の観点からの回復研究に関する文献検討の結果、統合失調症患者の自信・自尊感情・自己効力感・内省をキーワードとした回復促進研究が多数占めていることが明らかになった。この結果は2012年12月8~10日香港で開催された3rd HK-UK Joint International Conferenceにて発表した。 また、ICCDの認証を受け且つ活動の歴史がある諸外国のクラブハウスのうち、香港のPhoenix Clubhouseと豪州のCanfields Clubhouseを訪問して資料収集及び利用者と職員各5名の面接調査を行い、精神保健医療に関する資料収集のためシンガポールのInstitute of Mental Healthと関連病院を訪問した。 2012年10月より国内面接調査を開始し、2013年3月末時点で、精神科病院入院患者11名、福祉施設等の通所者15名、専門職(精神科看護師、精神保健福祉士、作業療法士、支援員)21名の面接調査を行った。精神科看護師の面接逐語録の分析の結果、看護師は退院、症状緩和、疎通性の向上、行動範囲の拡大、外的世界となじむ等の病棟内回復に視点が向いている傾向があった。尚、面接調査結果の一部を、2013年8月に開催される14th International Mental Health Conference(豪州)で発表予定(2013年4月26日受理)である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度の計画では、統合失調症患者の病識、回復、社会参加、エンパワメント、回復過程における看護に関する文献検討とその結果の発表、海外の精神障害者リハビリテーション施設であるクラブハウスと精神科医療機関の訪問調査、国内面接調査の準備(面接ガイドの作成、対象選定、倫理委員会の承認)であり、これらは達成できた。 国内面接調査の準備を予定より早くから進め、対象施設から承認を得ることができたため、2013年度の計画としていた面接調査の実施に着手することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2012年度から実施している国内面接調査のより詳細な分析と、当初目標数として設定した統合失調症患者60名、精神保健医療従事者30名に至るよう面接調査を実施するとともに、2013年度の計画である、国内施設の精神保健医療従事者のフォーカス・グループ面接を準備し、実施していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
2012年度の繰越金は、面接調査のテープ起こしを業者や大学院生に依頼する予定で計上しておいた人件費・謝金の費用と思われる。今回は業者等へ依頼せず、研究代表者と研究分担者がそれぞれ担当した面接を自分たちで逐語録に起こしたため予算を使用しなかった。 2013年度は、面接調査で使用する面接ガイドや研究依頼書等の用紙、プリンタートナー、調査対象者への謝品としての図書カード、情報収集と面接調査の分析結果を発表するための学会旅費、抄録・発表原稿・ポスター・投稿論文等の英文校閲費として、繰越金と2013年度助成金を使用する予定である。
|