本研究の目的は、統合失調症患者が捉える病からの回復の意味と回復過程における精神保健医療従事者の位置づけを明らかにすることである。地域で生活する統合失調症患者は、精神障害者であることを認めることへの揺らぎを抱えながらもより良く生きるために努め、社会における自分の役割を見出そうとする能動性をもっていた。支援者は回復を、「病気がなかったときのような普通の生活」と「病気を経て変化した新たな生活」とイメージし、中でも精神科看護師は長期入院患者に対する回復の期待を諦める傾向があった。精神保健医療従者は、統合失調症患者が生きることの自覚と意思をもっていることに気づき、それらを支えることの重要性が示唆された。
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