研究課題/領域番号 |
24593476
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
小木曽 加奈子 岐阜大学, 医学部, 准教授 (40465860)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 認知症 / BPSD / 介護老人保健施設 / ケアアウトカム / 充実感 / 職務満足度 / 離職 |
研究概要 |
調査1-1として、80床以上の介護老人保健施設5施設に対し、1年以上認知症高齢者ケアを実践している看護職5名と介護職5名(計50名)に対する自由記述による質問紙調査を実施した。調査1-2では80床以上の特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)4施設に対し、1年以上認知症高齢者ケアを実施している看護職1名と介護職1名(計8名)にインタビュー調査を行った。ともに「易怒・興奮」「拒薬・拒食・拒絶」「行動的攻撃(暴力)」「不潔行為」のBPSDに対する利用者の具体的な言動や現在実施されている対応でよい反応を得られたケアなどを明らかにするための調査として実施した。種別の異なる特別養護老人ホームでのインタビュー調査である調査1-2は、調査1-1を補完する目的で実施した。導き出された結果に基づき、調査2として、老年看護学分野の研究者2名、高齢者福祉学分野の研究者2名、介護老人保健施設の看護職2名と介護職2名による計8名にて意見収束技法であるデルファイ法を行った。統計は平均値、標準偏差、四分位偏差などを算出した。四分位偏差は、極端な値があっても影響されず散らばりの程度を示す数値であり、これらを用いて、合意の程度を確認した。デルファイ法参加者で協議をしながら、フィールドバックを3回繰り返し、調査1-1と調査1-2から得られた結果である内容分析から、各5内容を抽出し、文言の変更なども含め、BPSDサポート尺度案1として、2領域・4項目・5質問(計40質問)として意見収束を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画実施を予定していた調査1-1、調査1-2、調査2は、予定通り実施することができた。 これらの調査を実施することで、本研究の目的である認知症高齢者の対応困難なBPSDの具体的な現状と、その時に実施した対応でよい反応を得られたケアの現状を明らかにすることができた。調査1-1の対象施設である介護老人保健施設は、医療と福祉の中間施設であり、在宅復帰を目指しているなど施設の役割もある。そのため、特別養護老人ホームのように、終身利用する認知症高齢者は非常に少なく、認知症の重度な高齢者を看ることに対して、量的にも質的にも異なる側面がある。そのため、調査1-2のインタビュー調査にて調査1-1の結果を補完する役割を担えたと考える。インタビューの中でも「最期までここで看る」というケア実践者側の心構えが語られた。調査1-1と調査1-2における結果は内容分析を行い、認知症高齢者のBPSDのさまざまな状況や対応方法が明らかとなり、「易怒・興奮」の具体的な言動は25場面、その時実施した対応でよい反応を得られたケアは19場面であり、「拒薬・拒食・拒絶」の具体的な言動は25場面、その時実施した対応でよい反応を得られたケアは19場面であり、「行動的攻撃(暴力)」の具体的な言動は20場面、その時実施した対応でよい反応を得られたケアは18場面であり、「不潔行為」の具体的な言動は17場面、その時実施した対応でよい反応を得られたケアは20場面となった。調査2において、得られた調査1-1と調査1-2の結果からデルファイ法を用いて意見収束を行うことができ、予定通りBPSDサポート尺度案1を完成させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究計画を予定通り実施することができ、今後も年次ごとの研究計画に沿って実施していきたいと考える。 平成25年は、調査3として、BPSDサポート尺度案1に対する質問紙調査によりBPSDサポート尺度案2を作成し、調査4ではBPSDサポート尺度案の重みづけ得点化を行う調査を実施し、BPSDサポート尺度案3を完成させる。 平成26年は、調査5として、BPSDサポート尺度案3の信頼性を確かめ尺度を完成させる。調査6では、介護老人保健施設において、生活全体に配慮が必要な認知症高齢者に対して、BPSDサポート尺度を用いた参加観察法及びフィールド調査を実施し、その指標を用いたケアが効果があったかどうかを、NPI-NHなどを用い測定を行う。なお、調査6における観察者及びフィールドノート記録者は本研究調査対象認知症フロアのケア実践者である。調査6の結果により、BPSDサポート尺度の修正の可能性もある。 平成27年は、BPSDサポート尺度を用いて認知症ケアアウトカムと認知症ケア充実感と職務満足度及び離職意向の関係を、設立から3年が経過し80床以上の介護老人保健施設約200施設に対し、当該施設で1年以上認知症高齢者ケアの経験がある看護職5名と介護職5名(計約2,000人)を対象にし質問紙調査を行い、仮説の検証を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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