研究実績の概要 |
6つの予備調査を行い,本調査では介護老人保健施設255施設の看護職1,275名と介護職1,275名を対象にし,自記式質問紙調査にて,BPSDサポート尺度の信頼性,妥当性の検討を行った.その結果,看護職482名,介護職504名の有効回答を得て,探索的因子分析は,各4因子に分かれ,0.40未満の因子負荷量を示す項目はなかった.<ケアの領域>はモデルの適合度はGIF等が0.9以上を示し,各領域の下位尺度においてもαは0.8以上であった.また,コミュニケーションスキル尺度と1%水準で有意な相関が認められ,尺度の妥当性が検証できた.BPSDサポート尺度と認知症ケア充実感と職務満足度の関係としては,介護職は「給料」に対する満足度が低くとも,ケア実践には影響を与えないことが示されたが,看護職は「拒薬・拒食・拒絶」等との関係がみられた.その他の領域の職務満足度はケア実践との関係を示し,BPSDに向き合うケアの実践を行うことで「給料」以外の職務満足度が高まることを示した.認知症のBPSDに向き合うケアの実践は,その人らしさや関係性を大切にするひとりの人として関わる実践となり,その実践は職務に向き合う力となる.その力によって職務継続意向につながると仮定し,モデルの適合度を検証した.その結果,看護職のモデル適合度指数は,GFIは0.956,AGFIは0.924,CFIは0.948,RMSEAは0.071,GFI≧AGFIであった.介護職は,GFIは0.958,AGFIは0.928,CFIは0.945,RMSEAは0.069,GFI≧AGFIであった.<BPSDに向き合うケア>,<ひとりの人として関わる実践>,<職務に向き合う力>,<職務継続意向>が共通して抽出された.職務継続意向を高めるためには,認知症のBPSDに向き合うケア力を育むことが重要であることが示された.
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