研究課題
本研究の目的は、高齢者を対象とした防災対策に焦点を定め、防災対策の一環として健康維持増進・介護予防を位置づけた上で、地域の特徴とニーズに応じた継続可能な地域防災システムの構築を目指すことであった。平成26年度には、平成24年度に作成し、平成25年度に運用の有用性を確かめた防災対策プログラムを継続して運用・評価すると共に、地域防災システムの効果を多面的(防災力、心身の健康状態、運動機能など)に検証して総合評価した。その結果、下肢筋力強化運動と勉強会(防災対策・健康維持増進)を中心とした事業の展開により、運動機能(歩行力、脚力、平衡感覚)の向上と精神的健康(人間関係の満足度、精神的健康感、身体的健康感、人間関係の満足度、生活満足度、幸福感)の向上が確認された。また、自宅の防災対策準備状況(家電・家具の転倒防止策、寝室の安全性の見直し、寝室への履物の設置、消火器の設置、災害時要援護者に対する話し合い、非常時持出し物品の準備、防災メモの作成、一次避難所までの避難所要時間)の改善が認められた。また、25年度および26年度にそれぞれ3地区3グループで展開した本事業は、1地区1年間のプログラム実施終了後も継続してゆけるよう、本事業において育成した運動支援ボランティアおよび防災コーディネーターにて継続フォローされるようシステム化を行った。防災コーディネーターは計10名(平成25年度4名)育成し、運動支援ボランティアは計45名(平成25年度45名、平成26年度育成された45名のフォロー研修)育成し、現在継続的な地域の下肢筋力強化運動および防災支援事業を展開している。これらの事業の成果に基づき、最終的な地域防災システムの構造と運営方法を決定してモデル化し、報告書にまとめて三重県南部地域を中心とする市町への報告会を行った。さらに、本研究により得られた知見を学会やマスメディアを通じて公表した。
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