研究課題/領域番号 |
24593478
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研究機関 | 香川県立保健医療大学 |
研究代表者 |
片山 陽子 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (30403778)
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研究分担者 |
長江 弘子 千葉大学, 看護学研究科, 教授 (10265770)
越田 美穂子 香川大学, 医学部, 准教授 (30346639)
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キーワード | 国際情報交換 / 終末期 / がん患者 / 希望 / 目標志向型実践 |
研究概要 |
平成25年度の研究目標は、終末期がん患者の希望を支援する目標志向型看護実践の構造の明確化と検証の第2ステップ「希望を明確化し、支援するめの実践」の要素を抽出しその構造を明確化であった。当初計画は、国内・カナダでの訪問看護師へのインタビュー調査と参加観察を基に看護実践の要素の抽出であったが、平成24年度のフィールド調査、文献研究の結果、カナダBC州で実施しているアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の考え方と実践枠組みが「患者の希望や意思を明確化する実践」として有用であることを見出し研究目的と計画を以下のとおり修正し実施した。1.カナダBC州でのフィールド調査とACP教育担当者へのインタビュー調査により、患者の希望や意思を明確化する方略としてACPが有用であることを検証する、2.国内の訪問看護師を対象としたインタビュー調査により「患者の希望を支援するための実践構造」の明確化を目的として実施した。 目的1カナダBC州でのACP教育担当者と訪問看護師へのインタビューの結果、ACPの実践は患者の希望や意思を明確化するために有効であることが示唆された。BC州において終末期がん患者に対する訪問看護師の実践を参加観察し、訪問看護師は予後予測スケールを用いて予後予測を行い、患者家族へACPを実践し「終末期を過ごしたい、最期を迎えたい場所」「受けたいケア」「日々の生活に関する希望」などの意向を確認、多職種カンファレンスにより患者の意向に基づくケア展開が可能となるように主治医、介護職やボランティア等と協働している実態と共に、このような訪問看護師のACPの実践には教育的支援が必要であることが明らかとなった。ACP教育担当者へのインタビューでは、医療専門職に対するACPの教育の必要性と教育プログラムの内容を確認した。目的2は、4名の訪問看護師にインタビューを実施し現在も継続実施及び分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目的1.カナダBC州でのフィールド調査とACP教育担当者へのインタビュー調査によって、患者の希望や意思を明確化する方略としてACPが有用であることを検証すること、については、平成24年度の実施結果と基に研究計画を変更して目標設定し、ACP教育担当者へのインタビューによってACPの実践は患者の希望や意思を明確化するために有効であることが明らかとなった。 目的2については、4名の訪問看護師を対象としてインタビューを実施したが、現在も継続実施及び分析中である。国内での訪問看護師へのインタビュー調査は当初計画では平成25年度に終了予定であったことから、やや遅れている状況と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究最終年度であり、ACPのコンセプトを核とした「終末期がん患者の希望を支援する看護実践」の構造を明確化し、希望を志向した目標志向型看護実践の実践枠組みを検証することを目的に、1.平成25年に引き続き、カナダBC州でのフィールド調査とACPの文献検討及び終末期がん患者に対してACPを実践している他の海外先進国でフィールド調査とACP教育プログラム担当者に対するインタビュー等を実施し、患者の希望や意向を明確化するための支援枠組みを明らかにする。2.カナダBC州など海外先進地での実践枠組みの分析と共に、平成25年度から継続実施している国内での訪問看護師へのインタビュー調査のデータの追加分析を基に、我が国における終末期患者の希望を支援する看護実践の実践枠組みを検証する。 当初の計画では、カナダBC州と国内訪問看護師へのフィールド調査によって得られた結果を基に、平成26年度は病棟看護師を含めた終末期ケア実践家を対象としたフォーカスグループインタビューを実施する計画であった。しかし平成24年、25年度の研究成果を基に上記のとおり研究計画を修正した。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度実施の研究結果を基に、研究目的及び研究方法を修正した結果、研究費使用に関する計画も変更が生じた。若干、研究の達成は当初計画より遅れたが、平成26年度実施によって研究目的は達成する予定である。 ①国内訪問看護師インタビュー調査実施及び研究成果発表に関する国内旅費(500千円)、②ACPを実施している先進国において実践枠組みや教育プログラム構築のための調査実施ための外国旅費(ニュージーランドとシンガポール)(700千円)、③インタビュー記録のデータ入力作業に関する人件費(90千円)、④ACPの実践枠組みについて文献研究を進めるための必要な図書一式(30千円)、⑤文献整理用ファイルや調査データ記録媒体(25千円)、⑥研究成果公表のための英文校閲料と成果報告書の印刷費用(200千円)、⑦間接経費(360千円)
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