研究課題/領域番号 |
24593479
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
大森 美津子 香川大学, 医学部, 教授 (70251072)
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研究分担者 |
西村 美穂 香川大学, 医学部, 助教 (20511546)
政岡 敦子 香川大学, 医学部, 助教 (50618957)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / ストレス / 発達 / 人生の課題 / アクチグラフ |
研究実績の概要 |
本研究は、認知症高齢者のストレスパターンを踏まえた人生の統合を促すケアプログラムの開発と評価を行うことが目的である。今年度は、引き続きケアプログラムの開発の段階を進めた。前年度の分析内容を踏まえて、データ収集とデータ分析を行った。データ収集は、9名の認知症高齢者の人や環境との関わりを参加観察し、唾液アミラーゼ活性値の測定を終えた。装着拒否のあった認知症高齢者以外のアクチグラフの測定を行った。それらのデータを分析して、過去の家族との関わりの中での課題、戦争中の出来事の中での課題、人との関わりの中での課題、空間を超え、行き来する中での課題などがみられた。認知症高齢者は、現実を通して過去とつながり、また他の世界とつながり、現実の中で自身が直面している課題に向き合っていた。その課題の内容は、人やそれらの人々が作り出す環境により、参加観察中に内面に向かう方向に進んだり、環境の違いによって課題の焦点が変化していた。この変化を引き起こしている人の関わりや環境の影響の分析も踏まえて、ケアプログラムの内容に活かす必要があると考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
9名の認知症高齢者のデータ収集を終え、人生の課題を表す豊かなデータを得ることができていると考える。データ収集方法は、責任者がともにデータ収集を行い、研究分担者も習熟できてきて、順調に行えている。データ収集の実際は順調であるが、次のような看護学科のカリキュラムと人員の問題が生じたため、研究に費やす時間が限られた。平成26年度はカリキュラムの切り替えの時期で、1.5年分の実習を行い、ほとんど空き時間が得られなかった。また看護学科全体が不補充を多く抱え、少ない教員で教育・運営を行う必要があり、研究に費やす時間を捻出することができにくかった。その中でも、年休などの休みをほとんど取らず、努力してこのデータ収集を行った。データ分析を通してわかったことの意味は大きく、ケアプログラムの構築にも役立つ内容であると考え、やや遅れていると判断した。 平成27年度は、通常の実習内容に戻り、前期に研究のための時間も取ることができるため、この遅れは平成27年度に取り戻せると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
認知症高齢者のストレスパターンの特徴を総合的に分析するために、データ収集を約10名行う。データ収集には認知症高齢者の研究に習熟している臨床の研究協力者を加えてパワーアップする。幅広い視点からの分析を加えて、結果をまとめる。 これらの研究成果を、日本看護科学学会、日本看護研究学会中国・四国地方会で発表し、研究者と意見交換を行う。 ケアプログラムについては、上記の学会で情報収集するとともに、データの中からケアに繋がる内容の分析を行い、バリデーションに習熟している研究協力者との意見交換を行う。ケアプログラムに関わる文献検討をさらに深めて行い、上記の内容を総合して、ケアプログラムを作成する。 ケアプログラムの実施に向けて、倫理委員会への申請書の作成、フィールドへのコンタクトを取る、研究協力者へ研究成果の説明を行い、研究への関心を持ってもらうなどの準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集を行えてはいるが、対象数が少ないためデータ収集に必要な物品の費用が余った。また、学会での研究成果の発表を行っていないため旅費が余ったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
1.データ収集に伴う物品は次年度に購入する。 唾液アミラーゼモニター用チップ20枚入り 10袋 28,080円×4=112,320円 データ収集で録音された会話内容のテープ起こし 12人分 平均10時間×940円×12=112,300円 2.学会での発表とケアプログラム作成の情報収集 日本看護科学学会 12月広島 2名 約11万円。 日本看護研究学会 3月高知 2名 約6万円。 ケプログラムの情報収集 8月広島 2名 約11万円
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