研究課題/領域番号 |
24593482
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
東 清巳 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (90295113)
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研究分担者 |
鈴木 志津枝 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00149709)
永井 眞由美 広島大学, 医歯薬保健研究院, 准教授 (10274060)
植田 喜久子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (40253067)
寺町 芳子 大分大学, 医学部, 教授 (70315323)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 在宅療養移行介入モデル / 高齢終末期がん患者 / 家族介護者 / がん診療連携拠点病院 |
研究概要 |
高齢終末期がん患者と家族の在宅ケアに関して、他職種と豊富な経験を有し、研究協力に同意が得られた訪問看護師7名に対して、フォーカス・グループ・インタビュー(以下、FGI)を実施した。事前に平成23年度までの研究成果である「高齢終末期がん患者と家族の在宅移行介入モデル(以下、在宅移行介入モデル)」に関する資料およびディスカッションポイント(在宅移行介入モデルの実用化ーがん診療連携拠点病院の看護師が活用できるか否かーのために、同モデルの4つのテーマキーのうち、【ネットワークを強化する】について、修正・追加あるいは削除したほうがよい項目、および現実との乖離が著しいと思われる項目について検討する)を送付し、インタビューに臨んでもらった。約2時間のFGIで出された意見や協議内容を研究者間で分析し、モデルの実用化(がん診療連携拠点病院の看護師による活用可能性)を検討した。 その結果、【テーマキー】および〔テーマ群〕は原モデルのとおりで活用可能であるが、具体的介入である<意味単位>は、10個すべてに修正が加えられ、かつ、<医師や看護師は在宅療養や在宅緩和ケアの認識を深め、教育・学習の機会を増やす>には、異なる2つの意味が含まれていることから、2個に分け、11個の意味単位が生成された。 同様に、がん診療連携拠点病院から在宅療養へ移行した5名の高齢終末期がん患者の在宅介護経験者(遺族)に対して、訪問看護師へのインタビューとは別に、【在宅移行の安心を保証する】【在宅移行へのタイミングをのがさない】について、FGIを行った。その結果、安心の保証や移行時期のタイミングについて、的確な支援を提供してくれた医師や看護師といった専門家がいたが、その専門家達との出会いは、「運がよかっただけ」という捉え方がされており、がん診療連携拠点病院の移行支援には多くの課題があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度までの研究成果である「高齢終末期がん患者と家族の在宅移行介入モデル」の実用化に向け、、原モデルについて、訪問看護師および家族介護者からの評価を得るため、研究計画書に基づき、それぞれフォーカス・グループ・インタビューを行った。訪問看護師へのインタビュー内容の分析並びに結果の検討は終了したが、家族介護者へのインタビュー時期が3月下旬であったことから、音声データの逐語録作成が終了しておらず、予定通りに分析が進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、訪問看護師ならびに家族介護者へのフォーカス・グループ・インタビュー結果の分析・考察に基づき、原モデルを修正し、がん診療連携拠点病院の看護師に提示し、その活用可能性を量的調査を用いて明らかにする予定であった。しかし、活用可能性と実際にモデルを活用し、高齢終末期がん患者と家族の在宅移行を推進する(実際に介入する)こととは異なるため、量的調査で有用な結果を導き出させるか、研究者間で異議が示された。むしろ、経験豊かな訪問看護師が、がん診療連携拠点病院へ積極的に介入することで、在宅移行において、特に医療機関の看護師が不得手としているネットワークの強化にも有用ではないかと考えられ、訪問看護師による介入研究に計画を修正・実施することとする。方法の変更に伴い、介入を依頼する訪問看護ステーションの選定は、平成24年度のインタビューで協力が得られた訪問看護師が所属する訪問看護ステーションを想定しているが、詳細は研究者間で協議の上、決定する。また、介入のために支払う専門的知識・技術の供与等に係る経費は、平成24年度研究費の25年度繰り越し金と合算し使用できるため、支払い可能であると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度からの繰越金額387,243円は、研究方法の変更に伴い発生する謝金の一部として使用する。
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