【目的】本研究の目的は,特別養護老人ホーム(以下,特養)の看護職が看取りに関する知識・技術・態度を主体的に修得し,望ましい看取りを実現できる教育プログラムの開発することである. 【方法】研究者が作成した「看取りの教育プログラム試案」に基づき,研究参加者である特養看護職を支援しつつも共同して取組むテクニカルアプローチによるアクションリサーチとした. 【結果】アクション1で作成された「教育プログラム試案」の教育目的は「特別養護老人ホームの看護職が看取りに関する知識・技術・態度を主体的に修得し,望ましい看取りが実現できる」であり,教育目標が5つ設定された.教育内容は『看取りの勉強会』の開催と,これを通じて修得した知識を活用し,多職種連携による『看取り事例への適用』であった.教育方法は,『看取りの勉強会』では週1回の全5回で構成した教育内容を看護職が主体的に実施することとし,『看取り事例への適用』では看護職が看取りの経過に基づいて多職種と連携して看取りを実践することとした.アクション2の「教育プログラム試案の適用」は,看取りの推進に困難性を有するA施設の看護職5人と,看取りに取組んでいなかったC施設の看護職6人を研究参加者とした.いずれの施設も『看取りの勉強会』は看護職全員が教授案作成に基づく展開ではなく研究者の支援を要した.『看取り事例への適用』は,事例の積み重ねとともに看護職の役割を発揮した取組みとなった.アクション3の「教育プログラム試案の評価」では,看護職の知識・技術・態度の修得状況,遺族の評価から,試案の有効性と妥当性が確認できた.アクション4の「教育プログラム試案の修正」では,必要に応じて「教授・学習方法」を勉強会に加えることとした. 【結論】「教育プログラム試案」は一部修正が必要であったが,その有効性は確認され,「看取りの教育プログラム」の雛型が開発された.
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