研究課題/領域番号 |
24593493
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
中田 弘子 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (70551167)
|
研究分担者 |
小林 宏光 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (20225535)
田村 幸恵 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (20336605)
川島 和代 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (40157855)
三輪 早苗 石川県立看護大学, 看護学部, 助手 (40457891)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | なし |
研究概要 |
平成24年度は、臨床での介入型準実験研究を実施するための基礎データを得ることを目的に、微酸性電解水を用いた手部温浴ともみ洗いを併用することの衛生効果を検証した。 研究対象は成人健常者12名(両手24手)とした。手部の汚染度はATP拭き取り検査法で評価した。微酸性電解水生成装置Apia210(ホクエツ社製)から自動生成される微酸性電解水(pH5.0-6.5、有効塩素濃度10-80ppm)を使用した。実験前には生成水のpHおよび水温、有効塩素濃度を測定した。対象者には4条件の手部温浴(水道水による30秒および60秒温浴、微酸性電解水による30秒および60秒温浴)ともみ洗いを加えた2条件の手部温浴(もみ洗いを併用した水道水および微酸性電解水による手部温浴)を実施した。それぞれの条件の実施はランダムな順序とした。対象者の手部汚染度および皮膚pHは、各条件の実施前後の計2回測定した。また、手部温浴は39±1℃の温湯3㍑程度に浸漬するベースン法とした。 結果、手部は温浴するだけも衛生効果がみられ、温浴に使用する水の違い、すなわち微酸性電解水と水道水の汚染度の低下には差がみられなかった。また、温浴時間の違いによる汚染度の低下に差はみられず、微酸性電解水、水道水のいずれであっても30秒という短時間で衛生状態に改善がみられることが明らかとなった。さらに、温浴にもみ洗いを加えることで、温浴のみの場合に比べて衛生効果が高いことが明らかとなった。また、各条件の温浴前後の皮膚pHは、すべて微酸性の範囲であった。 酸性電解水の特性として、有機物との接触により次亜塩素酸の殺菌効果が失活することが知られており、微酸性電解水と水道水による温浴前後での手指汚染度の低下に差がみられなかったことは、温浴方法(ベースン法)が影響していることが考えられた。 本研究の成果については学術集会において発表予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、平成24年度は臨床での介入型準実験研究を実施するための基礎データを得ることを目的に実験研究を行った。平成25年の研究課題は「片麻痺患者の麻痺手の洗浄に微酸性電解水を併用することの衛生効果」であり、平成24年度の研究結果から研究方法を再検討し修正を行った。また、当該研究課題は平成24年3月に研究者が所属する石川県立看護大学の倫理審査委員会にて承認を得ている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、片麻痺患者の入浴時の手指洗浄に微酸性電解水を併用することの衛生効果を明らかにすることを目的に介入型調査研究を行う。 調査対象は療養型病棟に入院中で同意が得られた片麻痺患者20名程度(65歳以上)とする。手指の汚染度の評価はATP拭き取り検査法を、皮膚pHの測定はSkin pH Meter HI99181Nを用いる。微酸性電解水は、微酸性電解水生成装置PURESTER μClean(森永乳業社製)から自動生成(pH5.0~6.5、有効塩素濃度10~80ppm)されたものを使用する。調査前には生成水のpH、水温をHI98121Combo3で、有効塩素濃度をハンディ水質計アクアブAQ-102型にて計測する。対象者には2条件の入浴時の手指洗浄を実施する。すなわち通常の水道水(TW:Tap Water)を用いた洗浄と、通常の入浴時の手指洗浄後に微酸性電解水(SAEW:Slightly Acidic Electrolyzed Water)を用いてかけ流す洗浄とする。2条件の実施は研究者らの先行研究から3日間以上の間隔を開け、ランダムな順序で実施する。皮膚の汚染度とpHの測定は、各条件の実施前後と2日目、3日目、4日目の計5回実施する。入浴時の手指洗浄は、通常の入浴介助の流れに沿って、研究者が実施する。2条件の洗浄方法は研究者間で事前に打ち合わせ、同一の方法で実施できるようにする。 調査期間は、2013年7月下旬-8月下旬の2週間程度(1週間の内4日間×2週)とする。実施場所は療養型病棟を有するA医療施設とする。2013年4月に当該施設の施設長、看護管理者、病棟責任者に対して研究の趣旨、目的、方法等を説明し、研究の承諾およびの同意を得ている。2013年6月に詳細のスケジュール等について病棟責任者およびスタッフと協議、調整する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究成果の発表を行う。また、残された課題や微酸性電解水の清潔ケアへの効果に関する研究を計画し、成人健常者を対象にプレテストを実施する。
|