研究課題/領域番号 |
24593496
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
小松 万喜子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (50170163)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スピリチュアルケア / 福祉専門職 / 看護専門職 / 高齢者 / 終末期 / 学習ニーズ / 教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高齢者が経験するスピリチュアルペインを緩和し、高齢者が最期のときまで、自己の人生の意味を見失うことなく生きることができるように支援するために、老人福祉施設及び在宅において高齢者ケアに携わる看護師や介護士などの看護・福祉専門職者のスピリチュアルケア教育のあり方を検討することである。そのために、全国調査を行い、老人福祉施設及び在宅において高齢者ケアに携わる看護・福祉専門職者のスピリチュアルケアに関する学習ニーズと、学習ニーズに影響する要因を明らかにする。あわせて、看護・福祉系大学で高齢者の終末期ケアの教育を担当する教員のスピリチュアルケアに関する教育の考え方と教育の現状を明らかにすることが研究目的である。平成24~25年度は、学習ニーズ及び教育の実態を明らかにするための調査項目を設定するために、社会福祉士・介護福祉士の基礎教育で用いられているテキスト103冊を分析した。その結果、福祉系テキストの終末期ケアに関する記載内容と量にはばらつきがあり、用語の用いられ方も異なっていた。また、スピリチュアルケアに関する記載は少ないことが確認された。そこで、調査項目を補完して網羅的な内容とするために、看護系テキスト(緩和ケア、ターミナルケアなどが扱われているものを選定)の分析を行い、これらを照合して質問項目の完成をめざした。平成26年度は、それらの質問項目を精選し、社会福祉士教育に従事する教員に意見を聴取するなどして「老人福祉施設及び在宅において高齢者ケアに携わる看護師や介護士などの看護・福祉専門職者」と「看護・福祉系大学で高齢者の終末期ケアの教育を担当する教員」を対象とする2種類の質問紙を完成させ、現在倫理審査受審中である。平成27年度には遅れていた2種類の全国調査を平行して実施し、研究を完了させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、研究補助者を確保して遅れを取り戻し、質問紙の完成、対象施設の選定、倫理審査の受審、全国調査の実施まで行う予定であった。しかし、質問紙は完成し、倫理審査の受審までは到達したが全国調査の実施には至らなかった。この理由の一つは、研究補助者の確保が十分にできなかったことと、質問項目の精選など研究補助者に依頼できない部分で手間取ったことがある。もう一つの理由は、「地域包括支援センターの設置運営について」の改正などの影響を受けて、調査対象施設としている「介護老人保健施設、介護サービス事業者」の施設・事業所数が変化しており、リストの見直しが必要になったことなどである。
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今後の研究の推進方策 |
倫理審査後に研究実施許可がおりたら、以下の2つの全国調査を実施する。 [老人福祉施設及び在宅において高齢者ケアに携わる看護・福祉専門職者への調査]全国の、約6500の介護老人福祉施設、約7500の訪問看護ステーション、約31000の訪問介護事業所から県別に層化抽出した施設の施設長に研究協力を依頼し、承諾を得た施設の看護師・介護福祉士・社会福祉士などに質問紙を配布していただき、個別に返送を依頼する。返信が少なかった場合は、対象施設リストに基づいて依頼施設を追加する。 [看護・福祉系大学で高齢者の終末期ケアの教育を担当する教員への調査]全国の、約200校の完成年度を迎えた看護系大学、約60校の介護福祉士養成大学、約80校の社会福祉士養成大学の学部長または専攻長に研究協力依頼を行い、承諾を得た大学の高齢者の終末期ケアの教育を担当している教員に質問紙を配布していただき、個別に返送を依頼する。 質問紙の印刷・送信は研究補助者および印刷業者に依頼して時間短縮を図る。調査は8月~10月に実施できる見通しのため、最終年度内に計画は達成できる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、計画していた「在宅及び介護老人福祉施設で高齢者の終末期ケアに携わる看護・福祉専門職者を対象とする全国調査」「看護系・福祉系大学で高齢者の終末期ケアの教育を担当している教員を対象とする全国調査」を実施しなかったため、調査費用及びデータ処理アルバイト費用を支出しなかった。また、次年度にこの全国調査を実施するために、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
全国調査の実施に向けて倫理審査受審中であるため、実施許可が得られたら直ちに全国調査を実施する。約6340施設への発送代に約500千円、返信料金に約250千円の郵送代がかかる予定であり、次年度使用額分をこれにあてる予定である。
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