研究課題/領域番号 |
24593502
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
杉原 百合子 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90555179)
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キーワード | 認知症 / 家族介護者 / 意思決定 |
研究概要 |
本研究は、認知症高齢者本人の意向を尊重する意思決定への支援方法の構築を目的として、高齢者とその家族が意思決定していく過程を、認知症罹患の早期から観察し、意思決定に影響する要因とその変化を明らかにしようとするものである。認知症の早期の段階から、1年後、2年後と継続して、認知症高齢者本人と家族双方にインタビューを行い、調査時の認知症高齢者と家族の状態について各種スケールを用いて測定し、医学的所見も含めた状態把握を行い検討する。 本年度の成果は大きく次の2点に集約される。 第1点は、昨年度に実施した早期AD患者6名への1回目のインタビュー内容を質的に分析した。語りの内容から≪自分の変化への気づき≫≪以前とは違う自分に対するふがいなさ≫≪受診前後の状況と変化≫≪進行を食い止めたいという強い思い≫≪先の見通し≫≪家族への思い≫の6カテゴリーを抽出した。もの忘れ外来を受診し診断を受けることで、進行を食い止めたいと努力したり、家族への感謝の思いを語るようになるなど、患者の思いに大きな変化をもたらしていることが明らかになった。また、早期には記憶力低下をある程度自覚している患者も多いものの、罹患後のサービス利用等に関する決定には困難を伴うことが予測され、適切な意思決定への支援が重要であることが示唆された。 第2点目は、早期認知症高齢者とその家族を対象とした意思決定に関する聞き取り調査の2回目を実施した。現在、2組合計4人への2回目のインタビュー調査を実施し、調査時には、認知症高齢者の認知機能状態、家族介護者の介護負担感、抑うつ度の調査も同時に行った。すべてのインタビューで録音を行い、逐語録を作成した。今後インタビュー調査を継続して行い、分析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
早期認知症高齢者とその家族へのインタビュー調査については、申請時の計画では高齢者、家族それぞれ10人を予定していたが、調査に該当する初回受診患者数が少なく(MCIあるいは問題なしと診断されるケースが予想より多かったこと、独居で単身受診される患者も多くなっていること等の理由による)、認知症高齢者6名、家族介護者8名(認知症高齢者6名のうち2名については介護者2名からインタビューしたため)を今回の調査対象者とした。現在認知症高齢者への1回目のインタビュー内容の質的分析を終え、関連学会で発表予定である。また、2回目のインタビューも順次実施している。
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今後の研究の推進方策 |
認知症高齢者への1回目のインタビュー内容の質的分析を終え、平成26年6月、7月に関連学会で発表予定である。家族の1回目のインタビュー内容は現在質的分析中であり、これについても分析終了後、学会等にて発表予定である。 また、認知症高齢者とその家族への2回目のインタビュー調査を引き続き行う。現在2組の調査を終了しており、今後残り4組のインタビューを実施予定である。2回目のインタビュー内容も終了次第、分析を進めていく。今年度は最終年度であり、2回のそれぞれの分析内容を統合し、認知症高齢者と家族の意思決定における支援について検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
使用時端数(6円)が残ったため。 今年度に繰り越して使用する。
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