研究課題/領域番号 |
24593510
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
児玉 豊彦 三重大学, 医学部看護学科, 講師 (10549166)
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研究分担者 |
橋本 健志 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60294229)
久保田 寛子 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (30582960) [辞退]
高木 幸子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, その他部局等, 研究員 (50515591)
藤本 浩一 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (20467666)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | つながり / 自傷行為 / ICT / 携帯電話 / メール / IT |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、精神科通院患者を対象に、生活のアドバイスや地域の社会サービスや相談窓口等の情報を、対象者の携帯電話に定期的にメールで配信することで、社会資源の活用を促進し、地域社会とのつながりを支援することである。 本研究のためにメールの自動配信プログラムを開発した。A市内の精神科・心療内科を標榜する診療所、病院に通院する精神科患者30名を対象に、6ヵ月間、メール配信による介入を行った。配信したメールの内容は、生活のアドバイスや地域の社会資源の情報、受信日の通知や受診した事に対するfeedback等である。また、研究開始時、3ヶ月後、6ヵ月後に、対象者にPOMS(気分プロフィール検査)短縮版、および本研究用に作成した自記式質問票による調査を実施した。質問内容は、悩みや相談事を誰かに相談したか、相談しなかった理由は何か。地域の社会資源を利用したか、しなかった理由は何か、メール配信に対する感想等である。また、研究開始時、6ヵ月後に、主治医に患者の診断名や患者の転帰、介入前と介入期間中の自傷行為の有無等を尋ねた。 対象者全員が全てのメールを受信した。介入終了の時点で93.1%の者が「メールは役に立った」と回答した。介入前と比較して、メール配信による介入後、専門家などの相談窓口を利用した者が有意に増加した。さらに、地域の社会資源を利用した者も有意に増加した。また、主治医からの報告による、自傷行為をした者は有意に減少した。POMS短縮版に有意な変化は見られなかった。 今回の結果から、精神科通院患者に対するメールによる介入は、患者の援助希求行動の促進や自傷行為の減少につながることが示唆され、自殺予防への効果も期待もできると考えられた。 また、本研究で構築したアプローチの導入促進を目的に、メール自動配信プログラムのマニュアルおよび、アプローチの実施手順書を作成した。
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