研究課題/領域番号 |
24593511
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
服部 園美 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 講師 (00438285)
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研究分担者 |
水主 千鶴子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30331804)
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (40295811)
石谷 朋子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 助教 (40614409)
上松 右二 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (90223502)
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キーワード | 中高年者 / 認知機能 / 動脈硬化 / 神経心理 / 予防 |
研究概要 |
中高年者の認知機能は加齢とともにどのような側面が衰退、低下していくのか明確になっていない。また、社会・心理的、医学的背景が認知機能低下に及ぼす影響について、老年看護学分野での研究は行われていない。そこで、地域住民の大規模集団を対象とした疫学調査から中高年者の健康問題、特に認知機能や動脈硬化の程度に焦点を当て、その実態と知的活動との関連を明らかにすることを目的に調査した。調査は、和歌山県内のかつらぎ町に居住する住民(35歳から74歳)475人、かつらぎ町後期高齢者172人の計647人である。 検査内容は、神経心理学的機能評価として記憶、注意、言語機能に関する個別検査を実施した。内容は、全般的な機能(MMSE)、論理記憶検査、注意機能検査(D-CAT:数字抹消検査)、言語流暢性検査(文字流暢性検査・意味流暢性検査)をおこなった。動脈硬化検査(医学データ)として、頸部エコー、PWV(脈波伝播速度)、ABI(足関節/上腕血圧比)、AI(動脈硬化指数)、運動負荷後血圧、血液検査を実施した。知的活動状況(アンケート調査)は、基本属性および知的活動の有無をアンケート調査した。また、老年科うつスケール(GDS-15)、IADL、レジリエンス(回復力)尺度を使用し調査を実施した。 本研究は多量の神経心理学と医学データを多角的、学術的に蓄積できることが長所である。その蓄積されたデータを検証し、老年看護学の観点から中高年者に発進できる支援を構築することである。そのためには、将来訪れる後期高齢者の実態も知っておく必要があると考え、今年度もかつらぎ町に居住する後期高齢者の調査を追加した。調査内容は、中高年者と同じ内容を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、地域住民の大規模集団を対象とした疫学調査から中高年者の健康問題、特に認知機能や動脈硬化の程度に焦点を当て、その実態と知的活動との関連を明らかにし、予防を主体にした心身の健康問題の支援に関するストラテジーの構築を目的としている。そのためには、多量の神経心理学と医学データを多角的、学術的に蓄積できることが必要となり、その蓄積されたデータを検証し、老年看護学の観点から中高年者に発進できる支援を構築していかなければならない。 2011年の健診受診者は950人、2012年の健診受診者1180人、今年度(2013年)は647人であった。合計約2800人の神経心理学的機能および動脈硬化検査(医学データ)、知的活動状況(アンケート調査)の収集でき、データの蓄積は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続きデータを蓄積することで、知的活動の状況や動脈硬化の程度により認知機能に及ぼす影響を再度検証する。調査対象をみなべ町、かつらぎ町、上富田町の3町に増やす。また、みなべ町、かつらぎ町の後期高齢者の調査も実施する。みなべ町の後期高齢者については、縦断調査とする。 1)神経心理学的機能評価として記憶、注意、言語機能に関する個別検査を実施する。内容は、全般的な機能(MMSE)、論理記憶検査、注意機能検査(D-CAT:数字抹消検査)、言語流暢性検査(文字流暢性検査・意味流暢性検査)である。2)動脈硬化検査(医学データ)として頸部エコー、PWV(脈波伝播速度)、ABI(足関節/上腕血圧比)、AI(動脈硬化指数)、運動負荷後血圧、血液検査を実施する。3)知的活動状況(アンケート調査)として基本属性および知的活動の有無をアンケート調査する。老年科うつスケール(GDS-15)、IADL、レジリエンス(回復力)尺度を使用し調査を実施する。 知的活動の状況が認知機能の低下の防止にどのように寄与しているのかを検討する。対象者を知的活動の有無で2群に分け、測定された認知機能(注意・言語・記憶)で群間比較する。また、動脈硬化の程度が中高年者の認知機能の低下の防止にどのように寄与しているのかを検討する。頸部エコー、PWV(脈波伝播速度)、ABI(足関節/上腕血圧比)、AI(動脈硬化指数)、運動負荷後血圧、血液検査において数値の高低で2群に分け、測定された認知機能(注意・言語・記憶)で群間比較する。 得られたデータを解析し、学会発表および論文にまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査協力を得られた対象者数が予定していた人数よりも少なかった。そのため、計画していた人件費用の支出が少なくなった。また、論文を書く予定で英文構成を計画していたが、予定通りに進まなかったため、次年度に繰り越す状況となった。 今年度は、調査対象地域を3町に拡大したため、調査の人件費に使用する。また、得られたデータの整理を行い、分析し、論文にまとめる予定である。論文は英文とし、英文構成に使用する。
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