研究課題/領域番号 |
24593516
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
藤内 美保 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (60305844)
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研究分担者 |
佐藤 弥生 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (40550900)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | フィジカルアセスメント / 訪問看護師 / 在宅支援診療所 / 生活行動 / 薬剤の調整 / 判断 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、訪問看護師がフィジカルアセスメントに基づき、日常生活行動の判断、そして薬剤の投与量の調整の判断をどのように行っているのかを明らかにし、判断ツールを開発することである。 研究は大きく3段階で実施した。 研究1は、訪問看護ステーションにおける24時間対応体制の現状を明らかにするため、A県内の訪問看護師および在宅診療所医師に自記式質問紙調査を実施した。訪問看護師がフィジカルアセスメントしたことをどのように判断し、医師に報告しているのか、在宅療養支援診療所医師の24時間対応の実態、訪問看護師のフィジカルアセスメントに関する課題を明らかにした。訪問看護師43名、在宅診療所医師96名から回収が得られ、看護師が観察した項目、看護師の対応、病状変化の判断と対応の3つの観点からデータを抽出し、プロトコール原案を作成した。 研究2は、研究1の原案をもとに実践的活用ができることを目的に、訪問看護ステーション管理者と医師にインタビューを行い、呼吸困難症状に対する訪問看護の質の向上と標準化及び医師との連携の為のプロトコールシート作成をした。 研究3は、訪問看護師が行っている日常生活行動の判断および薬剤の調整の実態を明らかにした。フィジカルアセスメントの情報をもとに生活行動レベルや薬剤の調整の判断や判断根拠について、事例を活用して全国の304名の訪問看護師を対象に行った。回収数111部(回収率36.5%)であった。訪問看護師は、日常生活行動レベルの判断はしているが、薬剤に関する判断は困難であり、プロトコールの整備の必要性および薬理学に関する現任教育の強化が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年は、文献調査、在宅医療における訪問看護と医師の連携に関する研究計画をたて、その実態を調査することができた。共同研究者と会議を重ね、質問紙の作成や倫理委員会の承認、調査配布・回収を行った。 平成25年度は24年度に実施したデータの集計と論文作成に着手できた。同時に24年度の研究計画に加えて、訪問看護師のフィジカルアセスメントの実態と訪問看護師がフィジカルアセスメントの結果に基づき生活行動をどのように判断しているか、また薬剤の調整に関する調査の計画と実施を行った。 平成26年度は、25年度に実施した研究結果を論文にまとめることができた。26年度は2つの論文を海外で成果発表することができた。また24年度に行った研究成果はJournal of Medical safetyに掲載された。 平成27年度は、呼吸困難症状に対する訪問看護の質の向上と標準化及び医師との連携の為のプロトコールシート作成-実用性の検証に向けてをテーマにして海外で研究成果を報告した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、呼吸困難症状に対する訪問看護の質の向上と標準化及び医師との連携の為のプロトコールシートの完成を最終段階の目標とし、その点は公表でき到達できた。さらに、28年度までの1年間の延長が可能となったので、フィジカルアセスメントの客観的観察の検証を行うための研究を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
フィジカルアセスメントにおける客観的観察の指標となる聴診の解析において、人体の音(呼吸音や心音等)の解析ソフトが現存するものの、販売までに至っておらず、業者と相談していた。現段階では、聴診音の妥当性などの客観的指標を組み込んだ研究結果を追加することで、さらに精度が高まると考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
フィジカルアセスメントで重要な聴診の解析などの客観的観察の検証を研究に盛り込むことを計画していたが、今年度までに研究を完結するため、人体の音の解析ソフトの販売ができない場合を見越し、眼球運動測定器による客観的観察指標とアセスメントの妥当性の検証を計画している。
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