本研究は、介護老人保健施設での主体的な看護介入モデルを構築するための基礎的研究を行うものである。主体的な看護介入モデルとは、大学院課程でNP教育を受け、医師の包括的指示の下で特定行為を行う看護師(NP)の活動モデルである。看護師による特定行為の実施は平成25年6月保健師助産師看護法の一部改正が決定し、平成27年10月施行となった。超高齢社会の日本において、NPを含むチームによる成果が期待できる。平成24年度からの3年間を通した本研究は、その最初のモデルと成果を示す。平成26年度は次の3つの研究活動を行った。 ①平成25年度に学会発表した「介護老人保健施設におけるNPの活動プロセスの分析」論文の投稿準備をした(投稿予定)。研究結果として、NPと看護師の活動比較から、NPが高齢者の症状の緊急度や重症度の鑑別、検査・治療の必要性をアセスメントし高齢者と家族に介入していくことが特徴的であった。 ②主体的看護介入モデルによる有用性を検討するために、平成25年度に、「老人保健施設で特定看護師と協働する多職種が認識する有用性」について質問紙による意識調査を行った。結果として、主体的看護介入のうち「緊急時の対応」や「異常症状への対応」に介入の有効性を感じており、「スタッフの能力向上」にも影響することが示唆された。結果の一部を商業誌に公表し、海外誌(査読付き)への投稿準備中である。 ③上記結果から、主体的看護介入には、高齢者に特徴的な異常症状や緊急時への介入が有効なことが示唆された。そのため具体的な症状や状況(尿路感染症、心不全、糖尿病)に焦点をあてた介入モデルの分析を行うとともに、再度、対象施設でのフィールド調査を行った。具体的には上記症状(状況)を示す高齢者事例の症状と介入の実際についてデータを収集し、主体的看護介入モデルの基礎資料として分析を深め、学会発表および学会誌への投稿を予定している。
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