研究課題/領域番号 |
24593518
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
竹生 礼子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 准教授 (80433431)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 在宅ホスピス / ボランティア / 住民参加 / 在宅がん療養者 / 生活支援 |
研究概要 |
本研究の目的は、地域住民(あるいは住民ボランティア)が在宅がん療養者の生活支援に参加し、療養者と家族のQOL向上を可能にするシステムを開発することである。目的達成のために、アクションリサーチの手法を用いて、選定した地域に介入する4段階の研究を計画し進めている。平成24年度は、第1段階の研究を行った。 4段階とは、すなわち、1)事前調査:在宅がん療養者のQOL向上のために地域住民が生活支援を行うことに対する期待と躊躇に関する調査及び先行事例調査、2)アクションプラン:在宅がん療養者の生活支援に住民が参加するためのシステム案の作成、3)実施:パイロットスタディとして、開発した在宅がん療養者の生活支援に住民が参加するためのシステム案(アクションプラン)の運用、4)評価・修正:在宅がん療養者の生活支援に住民が参加するためのシステム案(アクションプラン)の評価・修正、修正版システムの提案である。 対象地域を北海道内2地域に選定し、各地域の関係者とともに研究に着手した。 1)事前調査として、在宅がん療養者のQOL向上のために地域住民が生活支援を行うことに対する期待と躊躇を明らかにするための聞き取り調査を行った。計25名(内訳:一般住民3名、在宅ケア提供者15名、行政・福祉関係者7名)に対し、半構成的インタビューを行い、現在分析中である。また、先行的実践事例の調査として、日本国内6団体、英国2施設を訪問し、在宅ホスピスボランティア活動を実践している代表者の聞き取りを行った。内容は、在宅がん療養者の生活支援に一般住民が参加する活動の理念、活動開始からのプロセス、活動の運営の仕組みと活動内容、活動上の効果と課題等である。この調査結果から、地域住民が在宅のがん療養者の生活支援に参加する活動上で重要となる要素を検討するために、現在質的内容分析を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成24年度末までに研究の第2段階(アクションプランの作成)が終了し、第3段階(実施)に着手する予定であったが、実際には、第2段階・第3段階の研究を平成25年度に開始することとなった。 その理由は、第1段階の事前調査のうち、当事者(在宅がん療養者および家族)に対するインタビューを、平成25年度に実施することとなったためである。対象者の紹介元である在宅療養支援診療所との会議を複数回設ける必要があったこと、当該診療所を開設する法人の研究倫理審査委員会の承認を得る手続きに時間を要したことが影響した。 第1段階の調査を全て終了させ、その結果の分析内容を、次の段階の第2段階(アクションプラン作成)に反映させる研究手順であるため、初年度の到達度としては遅れがあった。しかし、全体としては計画通りに進捗し、終了年度までの本研究目的の達成を見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当事者である在宅がん療養者と家族に対するインタビューを終了させる。事前調査の最終的な結果として、収集した一般住民ががん療養者の生活支援に参加するための重要な要素を明らかにする。その分析結果を元に、第2段階(アクションプラン)の住民参加のための生活支援システム素案を作成する。第3段階として、作成したアクションプランを介入地域2か所に対し実施する。介入予定地域2か所の関係者(Steak holder)とは、平成24年度中にすでに各数回にわたり合同の会議を開き、研究目的についての合意、協力の承諾が得られているため、今後の研究は円滑に進むものと見込んでいる。 想定している具体的な介入内容は、①一般住民に対する啓発活動、②支援住民(在宅ホスピスボランティア)の養成、③在宅がん療養者に対する一般住民の援助のパイロットスタディ(療養者5例程度)である。データの内容は、一般住民が在宅がん療養者の生活支援に参加する上での期待と躊躇の気持ちに焦点を当てる。データ収集方法は、①一般住民への自記式調査用紙と聞き取り、②支援者として養成された住民に対する聞き取り、観察、調査用紙、③支援を受けた在宅がん療養者への聞き取り、支援場面の観察、支援をした住民への聞き取り等である。 平成25年度は、②の支援住民(在宅ホスピスボランティア)の養成まで実施することを達成目標にし、対象者が出現した場合には、③のパイロットスタディを行う。 平成26年・27年度は、パイロットスタディを実施し、実施した評価結果からシステム素案(当初のアクションプラン)を修正し、修正版の地域住民参加型のがん患者の療養生活支援システムを提案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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