研究課題/領域番号 |
24593518
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
竹生 礼子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 准教授 (80433431)
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キーワード | 在宅がん療養者 / 住民参加 / 生活支援 / 在宅ホスピスボランティア |
研究概要 |
本研究の目的は、地域住民(あるいは住民ボランティア)が在宅がん療養者の生活支援に参加し、療養者と家族のQOL向上を可能にするシステムを開発することである。目的達成のために、アクションリサーチの手法を用いて、選定した2地域に介入する4段階の研究を計画し進めている。4段階とは、すなわち、1)事前調査:在宅がん療養者のQOL向上のために地域住民が生活支援を行うことに対する期待と躊躇に関する調査及び先行事例調査、2)アクションプラン:在宅がん療養者の生活支援に住民が参加するためのシステム案の作成、3)実施:パイロットスタディとして、開発した在宅がん療養者の生活支援に住民が参加するためのシステム案(アクションプラン)の運用、4)評価・修正:在宅がん療養者の生活支援に住民が参加するためのシステム案(アクションプラン)の評価・修正、修正版システムの提案である。平成25年度は、第3段階まで研究段階を進めた。 選定した北海道内の2対象地域において、各地域の関係者とともに、在宅のがん療養者を住民が支援する意義を住民に啓発するために160人規模の市民講座を開催した。当該講座受講者20名を中心に、「在宅ホスピスボランティア養成講習」を行い、そのうち16名の住民によるボランティアグループを結成した。また、事前調査の結果をまとめた、地域住民が在宅のがん療養者の生活支援に参加する活動上で重要となる要素を誌上報告し、在宅がん療養者の生活支援に一般住民が参加する上での期待及び躊躇についての聞き取り調査の結果を踏まえた住民による生活支援のシステムの活用の準備まで到達した。 今後は、住民による在宅のがん療養者の生活支援のパイロットスタディを行い、システムの評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成25年度内に、研究の第3段階のうち、パイロット・スタデイを開始し、対象となる療養者への住民の援助を実施する計画であった。しかし、実際には、第2段階・第3段階の研究の開始が平成25年度と当初の計画よりも遅れ、在宅のがん療養者への支援に住民が参加できるようグループを形成したのが25年度末となった。 その理由は、第1段階の事前調査のうち、当事者(在宅がん療養者および家族)に対するインタビュー調査が平成25年度にずれこんだためである。予定が後方にずれ込んではいるものの、計画は順調に進んでおり、予定のすべての調査・分析に今年度中に着手することができる見込みである。 全体としては計画通りに進捗し、終了年度までの本研究目的の達成を見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
事前調査の最終的な結果として作成した「在宅がん療養者の生活支援に住民が参加するシステム案」を運用する第3段階を26年度内に完了させる。作成したアクションプランを介入地域2か所に対し試行する。実際のがん療養者のもとに、住民であるボランティアが支援に向かうパイロットスタディを実施する。 介入地域での介入内容のうち、①一般住民に対する啓発活動、②支援住民(在宅ホスピスボランティア)の養成は、すでに25年度に進行しており、26年度に想定している具体的な介入内容は、③在宅がん療養者に対する一般住民の援助のパイロットスタディ(療養者5例程度)である。データの内容は、一般住民が在宅がん療養者の生活支援に参加する上での期待と躊躇の気持ちに焦点を当てる。データ収集方法は、①一般住民への自記式調査用紙と聞き取り、②支援者として養成された住民に対する聞き取り、観察、調査用紙、③支援を受けた在宅がん療養者への聞き取り、支援場面の観察、支援をした住民への聞き取り等である。 平成26年・27年度は、パイロットスタディを実施した評価結果からシステム素案(当初のアクションプラン)を修正し、修正版の地域住民参加型のがん患者の療養生活支援システムを提案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究指導にかかる東京出張費を、26年度4月に受領したため。 年度切り替え時に、研究指導にかかる出張を実施するため、旅費に使用する。航空券購入費が、ほぼ42,000円程度の見込みである。
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