研究課題/領域番号 |
24593521
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
田尻 后子 佛教大学, 保健医療技術学部, 准教授 (00369810)
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研究分担者 |
霍 明 姫路獨協大学, 医療保健学部, 准教授 (60383098)
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キーワード | 尿失禁新体操 / 中高年女性 / 腹圧性尿失禁 / インナーマッスル |
研究概要 |
2年目は、中高年女性の尿失禁対象者に骨盤底筋群と腹横筋の同時収縮を踏まえた新体操の指導方法および体操の介入である。それに際して、1.体操を誰でも容易できるような媒体の検討。2.体操介入の実施 3.発表および論文投稿の3項目である。 1.体操を円滑に長期に渡り実施するために指導用冊子の作成を行った。体操を実施するに当たり、一般的な尿失禁の現状や原因、この新体操の効果(インナーマッスルの作用)の理由、正しい体操方法、時期、体位、実施期間などをまとめ、指導の際に活用する冊子の作成を行った。また、道具については仙骨部を支持することで効果的な体操が期待できるため、腰部から臀部に置く道具(枕・クッション)について、形や硬さ、大きさなどを昨年に引続き検討しており、現在も試作段階である。 2.実施介入に関しては、中山病院(中国大連大学)と研究連携し共同研究を通してデータ収集を実施した。新体操についてはバイオフィードバックや徒手抵抗などを用いての指導、ポジションニーングや実施方法、体操時のポイントや諸事項、実施回数、継続期間などについて説明を行い介入へと進めた。また、市民交流センター(高槻市)で中高年女性を対象に新体操について説明会を実施した。 3.学会発表では「尿失禁女性の骨盤底筋群と腹横筋を用いた体操効果について」を第54回日本母性衛生学会(宇都宮)で示説発表した。 その後「Effects of co-contraction of both Transverse Abdominal Muscle and Pelvic Floor Muscle Exercise for Stress Urinary Incontinence :A Randomized Controlled Trial」をJournal of Physical Therapy Scienceに投稿中で8月掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度は、骨盤底筋群および腹横筋を活用した新たな尿失禁体操を効果的に勧めるため、対象者が実施し易いように体操・指導方法の考案を行った。これに関しては、運動(動作)の方法や実施ポイントを視覚的、聴覚的に示し、呼吸に合わせてリズムが取り易く、またバイオフィードバックがきるように体操DVDを完成している。また、体操時に使用する道具として枕・クッションの作成に試みている。試作段階であるが、介入実施時に活用し微調整しながら検討中である。 H25年度では、尿失禁に対する新しい体操効果を立証するために、長期に渡り容易に体操を実施し易いように指導方法、媒体の作成を行ってきた。それに関しては指導マニュアル等の作成、また、体操時に使用する道具として枕・クッションの作成に試みている。試作段階であるが、介入実施時に活用し微調整しながら検討中である。 介入については、中山病院に研究連携を図り、実施し、説明会などを実施し随時進めている。今回、介入対象数が少数であるが、介入群と非介入群に効果の差があることが示唆されたので、学会発表および投稿を実施した。しかし、今後の引き続き募集し継続的にフォローした介入を実施するする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は3年目となり、科研助成の最終年度であり、以下の4項目について実施する。 1.研究介入:昨年度年度に引続き、広く研究協力者を呼びかける。その呼びかける方法として、尿失禁はデリケートな問題であり、他者に公表することに大変羞恥心を伴う症状である。そのため、大勢を一度に介入することは困難であり、一人ひとりにプライバシーを重視しながら個別に対応する必要があることを今回の体験を通して強く実感したことである。そのために、個別的に対応することに加え、尿失禁のみに効果がある体操だけではなく、この腹横筋を強化する体操は、インナーマッスルの強化と共に腰痛緩和にもつながり、また、継続的に無理なく日々運動することは、中高年の肥満の改善、中性脂肪の低下など、身体の健康維持や改善はもとより、身体を動かすことで心理的にも爽快感を得られる副効果も含めて、体操指導のみに留めるだけでなく、多くの方に広く呼びかけ、第1の目的である尿失禁や健康への認識を高めて体操の介入へと進めて行きたいと考える。 2.補助具の開発:体操時に使用する道具として枕・クッションの作成について、介入時に活用し微調整しながら検討してきた。そのためより体操効果がアップする補助具の完成に向けて実施する。 3.研究者との連携:尿失禁の新体操について意見交換させながら広く研究を進めていくために国内外問わず交流を持ち、研修会や共同研究者を募っていきたい。6月(大阪)医療者を対象に尿失禁の研修会を予定、8月(中国:北京)で研修および研究交流会の予定など。 4.学会発表・研究投稿:研究結果の報告の場として(理学療法科学学会(中国:3月)・助産学会(東京都:3月)母性衛生学術学会(千葉県:9月)を予定。また投稿(Journal of Physical Therapy Science)を予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集において、研究協力者の謝礼が免除されたことや、研究協力者の参加人数が計画人数に満たないことで謝金の出費が少なかったこと。また計画していた学会参加ができなかったことにより、予算が余る結果となった。 今年後は、最後の年でもありできる限り、研究協力者の確保を行ないたいと、考える。 また、学会発表において国際学会の参加も計画している。論文投稿料や備品の購入、冊子の印刷など実施する予定である。
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