研究課題/領域番号 |
24593526
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 桐生大学 |
研究代表者 |
田邊 要補 桐生大学, その他部局等, 講師 (50515319)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ISMI尺度 / 自己スティグマ / 信頼性 / 妥当性 |
研究概要 |
2003年にリッシャーらが、精神障がい者自身のスティグマである内面化したスティグマ(自己スティグマ)を測定するために、「精神障がい者の内面化したスティグマ尺度」を開発したが、その日本語版は日本には存在しない。「精神障がい者の内面化したスティグマ尺度」の日本語版を作成し、その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。今年度は実施した概要は次の通りである。 1.著者であるリッシャーさんと5回のバックトランスレーションを繰り返し、日本語版として使用許可を得た。「精神障がい者の内面化したスティグマ尺度」のオリジナル英語版を翻訳したものは2人の英語が堪能な人に英訳してもらった。2.調査票を作成した。調査票は、対象者の属性(年齢、性別、学歴、病名、発病年齢など)、日本語版「精神障がい者の内面化したスティグマ尺度」、比較対象尺度(ベックの抑うつ評価尺度、ローゼンバーグの自尊心尺度、エンパワーメント尺度)から構成される。3.研究計画書を作成し、桐生大学の倫理委員会で倫理審査を受け、承認された。4.勤務先の所在地である群馬県内及び出身地である新潟県内の社会福祉施設を中心に研究対象施設を選定し、研究内容を説明し、同意書で許可を得た(群馬県内8か所、新潟県内13か所)。5.群馬県および新潟県の社会福祉施設を利用している精神障がい者に対し、研究の目的や方法などが書かれた説明書を配付して説明し、同意書で同意の得られた202名に対して調査を行った。6.再テストは調査から56日~118日後に、研究の目的や方法などが書かれた説明書を配付して説明し、同意書で同意の得られた55名に対して行った。 「精神障がい者の内面化したスティグマ尺度」の日本語版が出来れば、日本における精神障がい者の内面化したスティグマが測定できるだけでなく、諸外国のスティグマ研究との比較も可能になり、精神障がい者の回復の一助にもなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原著者とのバックトランスレーションが順調に進み、日本語版の「精神障がい者の内面化したスティグマ尺度」を中心とした調査票が完成したことが第一にあげられる。 次にあげられることは、日本語版の「精神障がい者の内面化したスティグマ尺度」を含めた調査票を基に群馬県および新潟県内の社会福祉施設を利用している精神に障がいのある人に対し調査を実施したわけであるが、どこの施設のスタッフも協力的であったこと、そして、何よりも社会福祉施設を利用している精神障がいのある方々が協力的であったことである。最初に、施設長に電話で研究の趣旨を簡単に説明し、実際にお会いして研究の説明をさせていただいたわけであるが、断られる施設は一つもなかった。また、実際の調査に関しては、社会福祉施設を利用している精神に障がいのある人にお願いをしたわけであるが、研究の説明をした後に同意をいただけなかった人は極々わずかであり、ほとんどの人が調査に参加していただいた。 今述べたことが、今年度の研究が順調に進展している大きな要因である。
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今後の研究の推進方策 |
日本語版「精神障がい者の内面化したスティグマ尺度」を含めたの作成や実地調査などが当初計画よりも進展があったため、平成26年度に実施予定であった日本語版「精神障がい者の内面化したスティグマ尺度」の「信頼性・妥当性の検討」や「成果発表」を平成25年度中に実施する可能性が出てきた。 このことにより、オリジナル英語版の著者との面会や論文を海外の雑誌に投稿するための翻訳依頼などを行いたい。著者との面会や論文の翻訳依頼を行うためには平成25年度の予算ではまかないきれないため、平成26年度の予算の前倒し支払請求を申請し、許可がおりた。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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