訪問看護師が行うグリーフケアは、患者の生前から関わる看護師が継続的な関わりを通して支援できるという特徴があるが、方法の不明瞭さが課題となっている。そこで本研究は、訪問看護師を対象としたグリーフケア教育プログラムを開発し、その効果を検証することを目的とした。 平成25年度には、グリーフケア教育プログラムを計7回開催し、教育プログラム前後にアンケートを行った。教育プログラム内容は、講義、事例検討等からなり、小冊子を作成し、その内容に基づいて講義を行った。分析は、アウトカムの経時的評価項目には、反復測定による一元配置分散分析とボンフェローニの多重比較を実施した。 参加者は合計114人(女性111人,男性3人)であった。分析の結果、教育プログラムにより、参加者は、グリーフケアの理解や興味が深まり、ケアへの意欲が高まっていた。さらに、社会資源を活用してグリーフケアを実施することについても理解の深まりが見られた。また、「スタッフにグリーフケアのアドバイスをする」「グリーフケアに関して多職種と連携をとる」といった活動についても、プログラム実施後に向上していた。 グリーフケア教育プログラムの実施により、看護師にとってのグリーフケアの明確化や振り返りの機会という効果があったと考えられた。しかし、グリーフケアの提供は、看護師に、心理的、時間的な負担があり、スタッフ相互のサポートや多職種との協働等、地域でのネットワークを推進していく必要がある。 平成26年度には、グリーフケアのセミナーの開催やフォーカス・グループインタビューを実施した。フォーカス・グループインタビューは訪問看護師16名が参加し、グリーフケアの実施上の課題について検討した。
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