研究課題/領域番号 |
24593532
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
北 素子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80349779)
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研究分担者 |
吉田 令子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00305343)
遠山 寛子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10433989)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 退院支援 / 認知症 / 家族 / ケーススタディリサーチ |
研究実績の概要 |
平成26年度は2ケース目として昨年度とは別の急性期病院において認知症高齢者を受け持った経験のある看護師10名に対してインタビュー調査を行った。昨年度と合わせて18名のデータを質的記述的に分析した。その結果、急性期病院に入院する認知症高齢者の家族が遭遇する問題と看護師の支援は、治療目的で予定入院してくるケースと、緊急入院してくるケースでは異なり、緊急入院で看護師は支援困難を多く抱えていることが明らかになった。緊急入院となるケースでは、独居あるいは当該認知症高齢者とその配偶者2人暮らしである場合が多く、もともと持病がある人で、家族がいてもその悪化に気付けない結果緊急入院してくることが多いことが語られた。また、別居子と親である当該高齢者との間で連絡を取り合うことが少なくなっていると、入院によって子どもは初めて親の認知症を知ることとなり、受け入れること自体で困難をきたしやすいこと、自宅への退院には家族のサポートあるいは外部サービスの活用が必要となることが多いが、家族のサポート体制が整わないことやサービス利用の家族の経済的負担、認知症高齢者本人のサービス利用拒否等から、退院支援に困難を抱えることが多いことが明らかになっている。来年度は分析結果の妥当性と転移可能性を確認するために、3つ目のケースとなる急性期病院においてインタビューを追加する。また、研究成果をまとめ、国内外で発表し、フィードバックを得ることを予定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ収集と分析に時間を要したことが、若干遅れている理由である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は開発した退院支援モデルの妥当性と転移可能性の検討を検討している。方法として、他の急性期病院への質問紙郵送調査を予定していたが、明らかになったモデルの理論的飽和を高める必要性から、ケースを追加してのインタビュー調査に変更する。また、国内外で研究結果を報告し、妥当性と転移可能性についてのフィードバックを得る機会とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
全体にデータ収集および分析の進捗に若干の遅れが生じていることから研究費の使用にも遅れが生じている。また、昨年度予定した在宅医療を先駆的に行っている海外の例を視察することができていないことも使用が遅れている理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度はさらなるデータ収集のほか、国内外の学会発表、論文投稿、在宅医療を先駆的に行っている海外の例を視察することを計画する。 さらに研究の遅れを取り戻すために、資料整理などを目的に研究補助者を依頼する。
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