研究課題/領域番号 |
24593533
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
王 麗華 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (20438774)
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研究分担者 |
磯山 優 埼玉学園大学, 経営学部, 教授 (10258931)
前田 浩利 東京医科歯科大学, 医学部, その他 (90520908)
木内 妙子 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (50279775)
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キーワード | 訪問看護 / 家族 / Web / 情報ネットワーク |
研究概要 |
本研究は、在宅療養者(以下療養者)・家族と訪問看護師間、VNS間、訪問看護師と医師間の在宅看護に関する多様な情報交流の場の提供を目的とする「Webコミュニティによる訪問看護情報ネットワークの構築」に取り組んでいる。平成25年度における研究は、平成24年度に行ったインタビュー調査の結果を基に、1.訪問看護師が協働・連携する上で必要な情報とニーズについて明らかにする、2.1.で得られた情報とニーズを踏まえて、Webコミュニティ上で看護情報ネットワークを構築するために何が必要かを明らかにする、の2点を目標にして取り組んだ。 1.については、訪問看護師の協働・連携に関連する文献を取り寄せ、訪問看護師が療養者家族の健康維持、看護を実践する上で何を重視しているかについて分析を行った。具体的な内容として、訪問看護師は、療養者・家族の療養生活を包括的に把握し、生活そのものを重視し、他職種との協働によるケアの取組を大切に考えていることが明らかになった。また、療養者・家族の負担を配慮し、「日用品を利用したケアの道具の工夫」など、訪問看護師自らの経験を生かした実践的な取組を行っていることも明らかになった。さらに訪問看護師は、ケアの際に高齢である家族の健康や介護力、経済的負担を配慮しており、特に、療養者の苦痛緩和のために家族が実施しなければならない手技やケア方法を、少しずつ時間をかけて獲得できるよう配慮しながら指導を行っていることが明らかとなった。 2.については、これまでの研究成果を基にメディア担当の研究分担者と十分に協議を重ね、コンテンツの内容を検討した。また、必要時に情報を獲得しやすくするための方法、協力者のプライバシーなどのセキュリティー確保の方法も検討され、Webコミュニティ看護情報ネットワークの方向性を決定するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、Webコミュニティ看護情報ネットワークを構築するために、文献などの検討・分析を踏まえ、訪問看護師が看護実践のうえで必要としている情報を明らかにするために、訪問看護師へのインタビュー調査を行った。また、訪問看護ステーションが開設しているWebサイトでどのようなコンテンツが公開されているかを明らかにするために、東京都内の訪問看護ステーションが開設しているホームページを閲覧・分析するという研究も行った。 これらの研究の成果は、論文や学会報告として広く公開されている。このうち、訪問看護ステーションのWebコンテンツについては、紀要論文(『埼玉学園大学紀要』)が1本、国内学会(日本医療・病院管理学会)での報告が1本(査読付)、国際学会(The 3rd World Academy of Nursing Science)での報告が1本(査読付)公開されている。また、訪問看護師が看護実践において必要としている情報については、国内学会(日本看護学教育学会・日本看護研究学会)での報告が3本(3本とも査読付)、国際学会(同上)での報告が1本(査読付)公開されており、着実に研究成果をあげている。 さらに、上記の研究成果を踏まえて、研究代表者を中心にして数回会議を開き検討を重ねた結果、訪問看護師が必要としている情報について、ケアリング、苦情への対応、訪問看護ステーション管理、キャリアアップに焦点を絞ってWebコミュニティを構築するという結論に達した。また、コンテンツ作成のために、調査した結果の図表を作成し、シナリオを作成することが決定している。 このようなことを踏まえ、現段階で本課題は、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、当初の計画通り、パソコンのサーバー上にWebコミュニティを構築・実装し、それを公開・運営してWebコミュニティの有効性を明らかにする段階にある。そのため、Webコミュニティを構成するコンテンツの詳細な項目を6月の時点で決定し、それを踏まえて主要なコンテンツである教材の具体案を7月までに作成する。8月から10月の間に詳細な教材の内容、及び、その他のコンテンツの内容を策定し、そして、11月までにWebコミュニティをパソコンのサーバー上に構築する計画である。 コンテンツの内容やWebコミュニティの仕様をすでに決定しているので、具体的に構築・実装するための機器やソフト、ノートパソコンやタブレット型コンピュータからもWebコミュニティを幅広く使えるようにすることを検証するための機器、さらにWeb上で情報提供する際に必要な素材の撮影を行うための機材を購入して計画を推進していく。また、Webコミュニティをサーバー上に構築するために作成協力の依頼や、Webコミュニティの効果を検証するためのインタビューの実施、さらに一部の教材の利用者を募って教材を評価するための協力を得たりしながら、研究を推進していく。 得られた研究成果については、関連学会である日本医療・病院管理学会や看護研究学会、看護科学学会等の各学会で積極的に発表していく予定である。また、研究代表者及び研究分担者が所属している各大学の紀要や関連学会誌に積極的に投稿し、広く研究成果を公表していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
学会の開催地が近い場所にあり交通費がかからなかったことと、研究における人件費および会議費用が少ない状況が発生したことで、研究費が残った。 平成26年度は、「Webコミュニティ」を構築する作業が中心となるため、作成するための機器やソフトを購入する予定。作成協力者のアルバイト料が必要である。「Webコミュニティ」の利用はノートパソコンやiPadにより使用することとなるため、関連の機器の購入が必要になる。また、効果を検証するためにWebを用いたアンケート等を実施する予定であるがWeb上での情報提供時の素材の撮影などが必要となるため、機器の購入に経費が必要となる。さらに、一部の利用者を募り、教材の評価を行う予定で進行しているため、協力者への謝礼が必要になる。加えて、研究データを分析するために、専門家への協力依頼などが発生するため、その謝金などが必要となる。また、研究に関する経過報告などを教育に関係する学会や訪問看護ステーションへ報告するための旅費などが必要になる。大きく計画とずれる事はないが、評価の進行が一部変更を余儀なくされることがある。
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