研究課題/領域番号 |
24593535
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
藤田 淳子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (10553563)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 利用者満足度調査 |
研究概要 |
本研究の一つは、訪問看護サービスの専門性が評価できる利用者満足度の概念枠組みを明らかにすることであった。利用者満足度調査自体の目的は、「質管理」である。そのため、利用者満足度のみならず、訪問看護の「質管理」全体を視野にいれて検討する必要性が明らかとなった。よって、本年度は、質管理の取り組みの実態調査と、利用者満足度に関する文献検討を行った。 ①過去1年間の訪問看護の「質管理」の取り組みについて、全国の訪問看護ステーションに調査したところ、実施が高い順に「研修会への参加(88%)」「管理者による看護記録の確認(64%)」「スタッフの目標管理(45%)」「管理者による全ケアプランの確認(42%)」などが挙げられた。「利用者満足度調査」を実施したのは38%であった。また、利用者満足度調査を実施している訪問看護ステーションは、実施していない訪問看護ステーションに比べ、規模が大きく、管理者の経験が高いなどの傾向がみられており、実施しやすい環境要因も必要だと考えられた。このような結果から、臨床で活用できる利用者満足度調査とするためには、調査方法やあり方を検討していく必要があることがわかった。 ②文献検討からは、先行研究で行っている利用者満足度調査の内容は、「職員の態度」「説明」「総合的満足度」など、接遇に関する項目を中心としていたことがわかった。調査は90%以上が肯定的評価を得ているが、年齢が若い場合、健康状態が悪い場合には、比較的満足度が低くなる傾向があることがわかった。以上の結果から、訪問看護の専門性を評価できる項目についてはまだ十分な研究がなされていないことがわかった。今後は、さらに文献検討するとともに、インタビュー調査などから専門性を評価できる項目を検討していく必要があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の計画は、利用者満足度の概念枠組みを整理することであった。しかし、訪問看護の実践者及び研究者など様々な方々と意見交換をしている中で、「利用者満足度」だけに焦点をあてるのではなく、広く「質管理」の取り組みを調査した上で、「利用者満足度」のあり方を検討するべきとの見解に至った。現在、訪問看護の質向上のためにさまざまな政策が検討されており、その流れも含めて検討する必要性が高いと考えられた。そのため、初年度は、まずは、「質管理」についての実態把握調査、文献検討及び政策の流れ等について情報収集を行った。本結果を踏まえて、次年度以降に利用者満足度の概念枠組み整理を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は以下のように研究を推進する計画である。 ①平成24年度に実施した訪問看護の「質管理」の実態把握の結果をもとに、引き続き「質管理」、その中の利用者満足度調査の実施の有無に関連する要因をさらに検討していく。これにより、臨床で活用できる利用者満足度の調査方法やあり方について検討する。調査については、平成24年度から引き続き協力者が得られている。 ②インタビュー調査(訪問看護師及び訪問看護利用者を対象)を実施して、「訪問看護の質を評価する視点」を抽出する。 ③平成24年度の文献検討と②のインタビュー調査と照らし合わせて、利用者満足度調査の概念枠組みを整理する。さらに、利用者満足度の質問項目を考案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に行う予定であったインタビュー調査を平成25年度の前半に行うように計画変更した。対象は、訪問看護師10名程度及び訪問看護利用者10名程度である。訪問看護師については、利用者満足度調査に関心があり、かつ、その地域の基幹となっている訪問看護ステーションに依頼予定であり、全国から広く対象を選定する。よって、インタビューと打ち合わせのための交通費、謝礼、インタビュー内容の録音・テープ起こしとして研究費を使用する計画である。
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