1~2年目においては、文献検討、インタビュー調査から利用者満足度尺度の枠組みを整理した。 3年目においては、、利用者満足度尺度の質問項目の作成、パネルディスカッションによる洗練、プレテストを実施し、18項目の利用者満足度尺度(5件法)を作成した。この尺度は、「終末期や医療ニーズの高い利用者も含めた全利用者のケアに関する満足度」を測定できるものとした。 最終年度では、訪問看護事業所における利用者満足度の評価と関連要因の検討を目的に研究を行った。具体的には以下の方法である。調査方法として、訪問看護に関する団体と共同で研究を実施し、その会員である事業所に募集をかけ、75事業所より応募があった。各事業所を通し利用者満足度調査票を配布してもらった。結果として、70事業所より協力が得られ、調査票の配布が2673名、回収が1975名であった(回収率73.9%)。利用者満足度の18項目について、「まあそう思う」「とてもそう思う」と回答した割合は72~92%であり、全体として満足度は高かった。利用者満足度18項目は、因子分析の結果「ケアプロセス」15項目、「訪問看護の効果」3項目に分かれた。ケアプロセス15項目の合計点と、利用者特性、訪問看護事業所特性との関連を分析したところ、利用者特性(病態、訪問頻度)、訪問看護事業所特性(包括的アセスメントの実施、他機関の研修受け入れ)が利用者満足度と関連していた。 以上の結果から、①訪問看護事業所間で利用者満足度を比較する際には、利用者の特性として病態の違いを考慮する必要性、②訪問看護事業所においてアセスメントや教育機関としての取り組みができている場合に利用者満足度は高い可能性が示唆された。また、本調査から得られた全体結果と事業所別の結果は、協力いただいた各訪問看護事業所へ還元した。
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