研究概要 |
平成24年度は研究代表者の異動に伴い,東北地方での看護連携システムの試行も対象地域とした。東北地方のフィールド開拓および情報収集のため,終末期ケアの実践経験のある グループホームの管理者に対して「終末期ケアにおける看護職との連携」について聞き取り調査を実施したが,東北地方は関西地方と比較すると,在宅診療医を中心とした医療との連携システムがすでに構築されていることが明らかになった。 地域もあり,全国版の看護連携システムの研修プログラム内容妥当性を確認するため,終末期ケア体制や実施状況の実態について兵庫県・愛知県・宮城県の地域格差を調査した。 その結果,181件,20.6%(A県42件16.0%,B県71件17.1%,C県68件33.5%)の回答が得られ,ケア提供体制は①看護職の配置有41件(33.6%),②医療連携加算124件(70.9%),看取り介護加算65件( 41.4%)が算定,③看取り経験有86件(38.2%),④訪問看護利用有64件(40.5%)で,①~④のいずれも3県に有意な差はなく同様の体制であった.看護活動は「褥創の処置」「点滴の施行」「痰の吸引」が上位を占め,A県が他の2県より高い傾向で,C県は他の2県とは異なり「介護職に身体の変化を伝える」「家族の理解を深めるために医師から説明を補足」が上位を占める傾向であった.「死に対する認識」については,現在も分析の途中である。 また,豪州(メルボルン)のモデル的なナーシングホーム,高齢者ケア施設,およびメルボルンADI協会,La・Trobe大学の Fetherstonhaugh氏ら研究者にヒアリングを行い,認知症ケアシステムについて情報収集を行った。その結果,メルボルンの認知症ケアシステムは政府からの援助やNPの教育的な役割の確立がなされていることなど,わが国の看護連携システム構築において参考になる情報が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度は,研究代表者の異動に伴い,宮城県中のグループホームのフィールド開拓および実態調査を実施したため,計画よりやや遅れており,国内のモデル施設のリクルートおよび ヒアリングが未実施である。 今年度は,分担者を1名増員して,データ分析および作業の効率化を図り,計画修正を行いながら教材であるDVDの作成を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,国内のモデル施設に対してヒアリングを行い,その結果を参考にしながら,看護連携システムの妥当性を確認する。 また,研修時に使用するDVDの作成および研修会による看護連携システムの介入を大阪府・兵庫県・愛知県・宮城県の4か所で実施する。 平成26年度は,前年度に得られたデータを分析し,看護連携システムを修正する。また,有識者らにより,修正した看護連携プログラム(案)を洗練し,強化する。
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