研究課題/領域番号 |
24593549
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
松本 啓子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (70249556)
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研究分担者 |
名越 恵美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (20341141)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 急変時対応 |
研究概要 |
在宅認知症高齢者の急変時の対応については、急変時対応に関わる送り出す側の家族介護者も、受け入れる側の医療職者も、急変時マニュアル等のリスクマネジメントの必要性の認識は非常に高く、組織間の連携や知識提供の重要性は認識しているが、その必要性を表在化し、ハード・ソフト両側面からのコーディネート機能を担う存在が無く、その部分の何らかの介入が急がれるところである。 上記に示した課題から、リスク管理モデルの基盤となる考え方を踏襲し、在宅家族介護者を取り巻くハード、ソフトの両観点から介護福祉施設に勤務する介護職員及び看護職員と訪問看護ステーションに所属する看護職者の急変時対応の現状と取り組みを明らかにする必要がある。家族介護者を取り巻く要因分析を中心課題とした研究に取り組むことが、在宅介護の現場での緊急課題である福祉と医療との連携のみに留まることなく、それを系統化した上でのコーディネート力へと繋げることが、在宅の現場に直接寄与する研究として重要となる。 それらのことを踏まえ、平成24年度は、急変時対応の現象を明らかにしてきた報告書の再検討やマネジメントモデルの作成への示唆を得るための文献検討、そして急変を取り巻く認知症高齢者と家族の現状を現場に密着した形で理解を深める努力をした。 システム提言につながる内容に特化した報告や文献のレビューを充実させることで、マネジメントモデルの方向性を定めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知症高齢者の急変時対応に関するリスクアセスメントに関して前研究において方向性を模索してきている。その中で、急変時の対応に絞った場合、病院での看護師の対処マニュアルの域を超えないものや、施設においての現状調査では、現状難しいといった状況で終わる。また、救命救急の観点からは、救命処置の思いが強い報告となる。本研究課題において、認知症高齢者に焦点を当て、その急変時対応の現状を把握していく際、家族による在宅での状況から、施設に入所している場合であれば、施設職員の対処マニュアルに関する規定に関するものになる。そこの区別の意味を検討し、多視点からマネジメントのモデルを示すことも視野に、情報の収集や文献検討を丁寧に行ったうえで、システマティックレビューへと高めたいと考えている。その作業はかなりの時間と労力を費やすことになる。 認知症高齢者を在宅で介護する家族介護者の急変時対応に関する思いとしては、急変時対応の経験を有する場合と、考えてみたことはあるが実際に経験を有さない場合がある。 経験を有する場合は、その時の被介護者の症状や自分の行動を振り返り、誰に連絡をするべきか、連絡経路の確認などに重要ポイントがあった。また、急変時の対応経験に関しては、回数が1回のみではなく度重なる場合には、前回に比べて、被介護者の症状がどうであったか、また、それまでに自分の対応に改善の余地があったかなどの振り返りができていた。 一方、急変時の対応を経験していない家族介護者にとっての急変は、起こってみなければわからないといった、現実味を持たない発言が見受けられた。 在宅認知症高齢者のこれらの思いを加味したうえで、施設における専門職が思う利用者の急変時対応についても、あわせて検討を進めてきた。蓄積されつつある文献データと現地での現状から、今後さらに深めていく調査への大きな示唆を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
現在進めている認知症高齢者およびその家族を取り巻く環境の問題を情報収集すること、また文献の検討を丁寧に行い、システマティックレビューの域まで高めた状態で概要をつかむ必要があると考えている。文献のレビューをシステマティックに行うことで、場合によっては現状に関する現象のメタ統合の域までの分析について、必要であるかどうかの検討もあわせておこなっていきたい。現在までの作業を踏まえたうえで、家族介護者及び施設職員からインタビューを実施し、そこで起こっている現象など課題の抽出を行っていきたいと考えている。 具体的な展開としては、まずはじめに、調査実施(事例調査):訪問看護ステーションの職員を対象に、急変時対応に関する調査として質的に実態調査を行う。その後、調査(事例調査)結果の分析:質的に行った実態調査で得られたデータの分析を行う。それまでに蓄積されているデータ情報より「質的調査の取りまとめと検討及び質問紙調査(量的)の検討」その後、調査実施(事例調査):介護福祉施設の職員を対象に、急変時対応に関する調査として質的に実態調査を行う。それらの結果を踏まえて、調査(事例調査)結果の分析:質的に行った実態調査で得られたデータの分析を行う。 以上のような展開で進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費:アンケート調査用紙一式作成・・・20万円 分析ソフト・・・・10万円 その他・・・・10万円 旅費:現状の調査状況の取りまとめの報告(ミネソタ)・・・50万円 その他:論文投稿料、論文翻訳、その他・・・・30万円 など
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