研究課題/領域番号 |
24593551
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
石橋 照子 島根県立大学, 看護学部, 教授 (40280127)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | エンパワメント / 患者参画型糖尿病教室 / 糖尿病 / 精神障がい者 |
研究概要 |
本研究は,糖尿病を併せ持つ精神障がい者が,患者参画型糖尿病教室に参画し,その中で育まれるエンパワメントと援助方法を解明することを目的とする。 患者参画型糖尿病教室は,A精神科デイケアにおいて8名のグループを作り,1か月に2回教室を開催している。学習会を実施したあとに,糖尿病に関してわかったことをカードに書き出してもらい,KJ法により図解化し既知の整理を行う。その図解をもとにどのような学習が必要か話し合い,メンバー参画により学習会を企画している。また、何回か学習会を実施した後には振り返りを行い,各自が自己の成長を自覚し目標設定をするセッションを取り入れている。 今年度は2012年9月から本教室を開始し,6か月経過した段階で振り返りのグループディスカッションを行った。ディスカッションの録音データと毎回の糖尿病教室の参加観察記録から,意識や行動の変化,成長できたと自覚した発言を抽出し,ベレルソンの内容分析の手法を用いて,アウトカムとしてのエンパワメントを明らかにした。 その結果,「開放性の高まり」「困難への直面」「満足」「助け合い」「興味」「現実に向かう意欲」「自己成長」「対処能力の向上」「希望の感覚」「自己効力感」「コントロール感の獲得」「生活の質の改善」の12カテゴリが抽出できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習会や研究参加者の決定など準備段階を経て,予定通り9月より患者参画型糖尿病教室を実施できている。しかし,データ分析においてやや遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
1.月に2回のペースで患者参画型糖尿病教室を継続実施する。 2.データ収集方法:①患者参画型糖尿病教室の参加観察記録(毎回),②フォーカス・グループ・ディスカッションの内容(3か月に1回),③HbA1c,血糖,体重などの測定値(1か月に1回),④エンパワメントスケール,セルフケア能力質問紙等を用いた評価結果(6か月に1回) 3.分析方法:①患者参画型糖尿病教室の参加観察記録より,患者毎にエンパワメントの心理的側面と行動的側面に関する部分を抽出し,その変化を明らかにする。また,記録よりエンパワメント因子(自尊,力,自立,楽天,怒りなど)に関連した関わり・発言を抽出し,教育プログラムとエンパワメントを促進する援助方法を明らかにする。②フォーカス・グループ・ディスカッションの内容から,エンパワメントの心理的側面と行動的側面に関する部分を抽出し,参加観察記録から抽出した内容と比較する。また,エンパワメント因子に関連した内容を含む記録単位を抽出し,ベレルソンの内容分析の方法に基づき分析し,参加観察記録から明らかにした教育プログラムとエンパワメントと比較する。③患者毎のHbA1c,血糖,体重などの測定値の推移と①の分析結果より,患者毎の糖尿病に関するセルフケアの状態を評価する。④エンパワメントスケール,セルフケア能力質問紙等を用いた評価結果の推移により患者参画型糖尿病教室によるエンパワメントの効果を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.患者参画型糖尿病教室の運営に伴い、補助者として糖尿病療養指導士を雇用している。また学習会によって医師、管理栄養士、薬剤師などへの謝金が必要である。 2.患者参画型糖尿病教室参加者が使用するテキストや口腔ケア用品、運動器具などを購入予定である。 3.HbA1c,血糖,体重など測定のための消耗品が必要である。 4.ディスカッション内容などテープ起こしの委託料が必要である。 5.関連学会での公表に必要な学会参加費・旅費に使用する。
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