研究課題/領域番号 |
24593551
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
石橋 照子 島根県立大学, 看護学部, 教授 (40280127)
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キーワード | エンパワメント / 患者参画型糖尿病教室 / 精神障がい者 / 糖尿病 |
研究概要 |
本研究は,糖尿病を併せ持つ精神障がい者が,患者参画型糖尿病教室(以下,教室)に参画し,その中でエンパワメントのアウトカムと,エンパワメントプロセスの支援として援助方法を解明することを目的としている。 教室は,A精神科デイケアを利用する糖尿病を併せ持つ精神障がい者(以下,参加者)に対して,月に2回の割合で教室を開催しており,学習会テーマは参加者と共に企画・実施している。学習会ではテーマに沿って知識や情報を提供し,学習会後に,座談会形式で自己の成長や工夫などを話し合うセッションと組み合わせている。また学習会によって得られた知識の整理には,KJ法による図解化を用いている。毎月任意で食後血糖値と糖化ヘモグロビン値の測定を行っており,結果を受けて振り返りと次回測定までの目標を設定している。 6か月毎にグループインタビューデータから,エンパワメントのアウトカムを抽出している。教室開始6か月後と12か月後のアウトカムを比較したところ,6か月目には「開放性の高まり」「困難への直面」「満足」など11カテゴリが抽出できていたが,12か月目には「予期性不安」「他者の肯定」が加わり13カテゴリが抽出できた。 また,糖化ヘモグロビン値の推移より糖尿病管理状況を評価し,個々のエンパワメントのアウトカムを参加者本人と確認した。その結果,1名を除いて8名の糖化ヘモグロビン値が改善もしくは良好を維持しており,自らの状態を評価できるようになったり,調理方法や摂取内容に工夫やコントロールができるようになっていた。1名の参加者は精神状態が不安定となり,教室に参加していても過鎮静により学習内容に関心が持てない,会話が成立しにくいなどがみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者参画型糖尿病教室を順調に継続実施できており,エンパワメントのアウトカムを抽出できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後,患者参画型糖尿病教室を継続実施しながら, ① エンパワメントプロセスの支援として援助方法を中心に解明する。 ② 定期的に教室参加者のエンパワメントのアウトカムを確認し,個人から対人レベル・集団レベルに拡がっていることを実証する。 ③ ①②より教室の運営方法及び具体的な援助方法を明らかにする。 予定にしている。
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