研究課題/領域番号 |
24600003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
市野 順子 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 助教 (50452040)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換(カナダ) / ユーザーインターフェース / 身体的インタラクション / 子ども / 創造性 / 音楽インタフェース |
研究概要 |
子どもの創造力や感性を豊かに育むために音楽教育は不可欠である.最新の音楽ツールの多くは音を綺麗に整列して配置できるため,音の配置の微妙なズレといった細部の操作に固執してしまう事例が報告されている.このような問題を引き起こす主要因が,既存ツールの操作方法にあると考え,本研究では,子どもの豊かな身体動作を活かし,身体表現を利用して「お絵描き」する身体的インタラクション行為を通し,創造的音楽活動を支援する情報環境の実現を目指す. 初年度である本年度は,子どもの身体表現を活かしたインタフェースに着目した,創造的音楽活動を支援する情報環境を実現した. 具体的には,タッチ可能な大型の表示装置であるキャンバス,パレット型の入力装置,スピーカーで構成される描画空間を構築し,その空間の中で子どもが身体を動かしながらお絵描きをするように音楽を作り・演奏することができるソフトウェアを実装した.子どもは,パレットを持ち,筆や指を使ってキャンバスディスプレイ上に絵を描く.子どもが絵を描くと,線の位置・色・太さ等に対応した音色が再生される.一旦描画した線は,何度でも修正でき,再生される音楽を変化させることができる. 子どもは,大きなキャンバス上で,パレット・筆・指を使い日常的に行なっているお絵描きの行為に極めて近い行為を通して,本システムを操作できる.絵を描く・音を聴く・絵を描き直す,を楽しみながら繰り返し行う中で,目で見ることができない抽象的な音楽の概念を学び,さらには,自由に描いた線が想像もしなかった新しい・複雑な音楽が創られることに目を見張り,創造することの楽しさを体得することになる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画よりも進展があったため,本年度の終盤で,次年度に実施予定であった比較検証実験の実施に向けた検討を開始した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策は,以下の通りである. ◆次年度(平成25年度)の研究実施計画: 当初予定通り,平成24年度に実現した情報環境を用いて,身体的インタラクションが子どもの創造性に与える効果を実験的に検証する. ◆平成26年度の研究実施計画: 当初予定通り,提案する情報環境を広く一般に利用可能とする「基本ソフトウェア」を整備する.
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次年度の研究費の使用計画 |
大型ディスプレイや大型タッチパネル等の機器を導入する.また,検証実験を実施するために,被験者募集・管理・実験補助等を一部業者に委託する.
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