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2013 年度 実施状況報告書

成育初期ストレスによる精神的発達障害のメカニズム-ムスカリン受容体の新しい機能

研究課題

研究課題/領域番号 24600006
研究機関福井大学

研究代表者

村松 郁延  福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命教授 (10111965)

研究分担者 西宗 敦史  福井大学, 医学部, 助教 (40311310)
宇和田 淳介  福井大学, 医学部, 助教 (70580314)
キーワードムスカリン受容体 / 海馬 / アセチルコリントランスポーター
研究概要

ムスカリン受容体は、記憶・学習といった高次脳機能に関与し、ストレスにより影響受けることはよく知られている。しかし、その詳しいメカニズムはまだ十分解明されていない。私たちは前年度の研究で、M1ムスカリン受容体が海馬の神経細胞では細胞膜だけでなく細胞内にも存在し、海馬のlong-term potensiation(LTP)に異なる機序で関与することを明らかにした。しかし、細胞内のM1ムスカリン受容体が活性化されるためには、内在性アゴニストacetylcholine (ACh)が神経細胞内に取り込まれなければならない。そこで、本年度はAChの取り込みをラット大脳皮質および海馬を用いて研究した。ACh esterase inhibitor存在下で、[3H]AChは濃度および温度依存性に取り込まれた。そしてこの取り込みは、tetraethylammmonium (TEA)やcarbacholで抑制された。同様な取り込みは[3H]cholineにおいても観察されたが、TEAやcarbacholによる抑制は弱かった。逆に、[3H]cholineの取り込みは、hemicholinium-3により特異的に抑制された。[3H]AChの取り込みは、脳の各部位でも観察されたが、末梢組織(心臓、肝臓、大腸など)ではほとんど観察されなかった。これらの結果より、中枢では、AChを細胞内に特異的に取り込む機構、おそらく ACh transpoterの存在することが示唆された。また、carbacholによるLTP増強の後期相がTEAにより特異的に抑制されることも確認した。以上の結果より、海馬や大脳皮質では、内在性アゴニストAChが細胞膜と細胞内のM1ムスカリン受容体に二重に作用するというcholinergic dual transmissionという新しい考え方を提唱した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

cholinergic dual transmissionという、まったく新しい機構が存在することを明らかにした。しかし、AChがどのように神経細胞内に取り込まれるのか、またM1ムスカリン受容体はなぜ特異的に細胞内にも存在するのか、これら詳しいメカニズムはまだわかっていない。 これらの点を明らかにし、発達とストレスとの関係を追究していきたい。

今後の研究の推進方策

ACh transpoterという今まで知られていない全く新しい機構が存在することを明らかにした。しかし、その分子実体はまだ不明である。今後はACh transpoterのクローニングを行い、さらにストレスとの関係を明らかにして、記憶・学習という今までブラックボックスであった分野の解明に繋げたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)

  • [雑誌論文] Novel contribution of cell surface and intracellular M1-muscarinic acetylcholine receptors to synaptic plasticity in hippocampus2013

    • 著者名/発表者名
      Anisuzzaman ASM, Uwada J, Masuoka T, Yoshiki H, Nishio M, Ikegaya Y, Takahashi N, Matsuki N, Fujibayashi Y, Yonekura Y, Momiyama T, Muramatsu I.
    • 雑誌名

      Journal of Neurochemistry

      巻: 126 ページ: 360-371

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comparison of subcellular distribution and functions between exogenous and endogenous M1 muscarinic acetylcholine receptors2013

    • 著者名/発表者名
      Morishima S, Anisuzzaman ASM, Uwada J, Yoshiki H and Muramatsu I
    • 雑誌名

      Life Sciences

      巻: 93 ページ: 17-23

    • 査読あり
  • [雑誌論文] M1 is a major subtype of muscarinic acetylcholine receptors on mouse colonic epithelial cells2013

    • 著者名/発表者名
      Khan RIM, Anisuzzaman ASM, Semba S, Ma Y, Uwada J, Hayashi H, Suzuki Y, Takano T, Ikeuchi H, Uchino M, Maemoto A, Ushikubi F, Muramatsu I, Taniguchi T
    • 雑誌名

      Journal of Gastroenterology

      巻: 45 ページ: 885-896

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Agonist pharmacology at recombinant a1A- and a1L-adrenoceptors and in lower urinary tract a1-adrenoceptors.2013

    • 著者名/発表者名
      Yoshiki H , Uwada J, Umada H, Kobayashi T, Takahashi T, Yamakawa T, Yamaguchi A, Yokoyama O, Muramatsu I
    • 雑誌名

      British Journal of Pharmacology

      巻: 170 ページ: 1242-1252

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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