研究課題/領域番号 |
24600007
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
粟原 知子 福井大学, 教育地域科学部, 助教 (80608753)
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研究分担者 |
熊澤 栄二 石川工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (30321425)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 子どもの遊び / 小学生 / 手描き地図 / イメージマップ / まちづくり |
研究実績の概要 |
本研究は、子どもが「遊び」によってどのように地域やまち・空間を理解するのかを小学生のイメージマップ(手描き地図)の質、遊び環境調査から明らかにし、子どもにやさしいまちづくり・地域計画に活かすことを目的としている。 申請者は、これまでに地方都市部の小学生の遊びを10年以上にわたり調査・研究し、調査対象町内での、1.生活環境の違いによって遊び傾向が異なる点、2.10年間で遊びの質が変化した点、3.年齢が上がるごとにイメージマップに見られる「まちの要素」が増加し、理解が深まる点を確認した。 よって本研究では、1.遊びの傾向とイメージマップの質の相関関係を明らかにし、子ども目線にたったまちづくりの新たな指標を確立すること、2.指標を検証するために他都市で同様の調査を実施し、分析すること、3.まちづくり団体と連携し、これらを広く市民に伝えることを目的とする。 25~26年度にかけては、小学生のイメージマップ(約1300)のデータ化及び空間認知、地域意識(建物・交差点などの要素分析及び実際の地図との比較)分析について、学年・地域特性(旧市街、新興住宅地、過疎地)別に整理し、子どもの認知構造の試案を作成した。本研究チームはイメージマップ定量化分析法AMQIM(Analysis Metyod to Quantify Image Map)/イメージのマップの定量化のプロセスをQIM(Quantify Image Map)としてその分析手法の構築のため、現地フィールド調査を実施している。 また、子どもの関心範囲が地理的条件に影響を受けることを明らかにし、小学生の遊び特性に関しては、地域特性別分析を進めるとともに、空間認知構造とかかわりが深いと考えられる、遊び場写真別にみる子どもの遊びの心象風景をさぐる調査分析を進め、これらの結果をIPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)世界大会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
24~25年度は、研究代表者の妊娠・出産・育児に伴う、病気休暇、産前産後育児休暇取得により、実施計画が全体的に遅れていた。さらに、仕事復帰後も、時間短縮勤務や育児との両立により、研究時間を充分に持つことができず、また研究分担者・協力者との連携が不十分であった。 25~26年度にかけて、申請者が主に担当する子どもの遊び調査分析については、当初の予定通り、海外研究発表を行った。しかし、同時進行しているイメージマップ分析におけるフィールド調査が当初の予定より多くの時間を要しており、これに伴い、26年度に実施予定であった他都市での遊び調査の実施を遅らせている。 イメージマップ分析については、本研究チームが目指す新たな分析指標として定量分析の方法を試行しており、空間認知、地域意識分析について、学年・地域特性別に整理し、子どもの認知構造の試案を作成した。その際に地域意識分析のためのフィールド調査を重視したため、手描き地図と実際の地図との比較分析に多くの時間を要している。また、アンケート調査分析で適用していた地域特性分類から、この間フィールド調査によって対象地分類を変更したため、遊び調査においても分析指標の変更を行っている。 また、イメージマップ分析において、これまで主流であった定性的分析に対し、本研究チームはイメージマップ定量化分析法AMQIM(analysis Method to Quantify Image Map)/イメージマップの定量化のプロセスをQIM(Quantify Image Map)として新たな分析指標を提案している。本指標の構築を目指し、他都市との比較調査を予定していたが、当初予定していた大都市との比較分析から石川県河北郡と同程度の地方都市において再度、アンケート調査を実施する案が出ており、このため調査対象地を再検討したため計画が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は、都市間比較のための遊び環境アンケート調査及びイメージマップ調査を実施する予定である。地方都市部での調査を予定しており、イメージマップ定量化分析法AMQIMの構築を目的とした新たな検証データをとりたい。 具体的には、4~5月にかけて調査対象地の選定、6~7月に調査実施、その後アンケート調査の都市間比較分析に入りたい。イメージマップ調査分析におけるフィールド調査は、継続して行う。 また、これまでの研究成果について市民を対象とした発表の場を設け、成果を公表したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
妊娠・出産・育児に伴い、研究計画が遅れており、さらに研究遂行上、調査対象地の変更を検討し、26年度に予定していたアンケート調査を実施していないため。また、実施できなかった打ち合わせ旅費もあるため。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度は調査実施に向けて、打ち合わせ旅費や調査分析補助謝金、成果発表会等で使用予定である。
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