現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は,①韓国の絵本環境を,現地の幼稚園調査を実施した上で,「理念・施策」「実践」の両側面から描き出すこと,②台湾の絵本環境について,(a)国レベルの調査を国内で実施した後,現地訪問調査を実施することを予定していた。①韓国の絵本環境については,以下にまとめる成果を得て目的を達したが,②台湾の調査に関しては,訪問先の都合により,(b)幼稚園,及び(c)保育者レベルの調査が次年度に繰り越された。 ①韓国の絵本環境:「理念・施策」に関して,「幼稚園教育課程」(ヌリ課程,2012)では,絵本は「意思疎通」の領域に含まれ「文字と本に親しむ経験を通じて,文字の形を認識して,読むことに興味を持つ」ことが求められていた。「本」は見ることを楽しむとともに,内容を理解し(認知),大切に扱う(道徳)ことに主眼が置かれ,小学校教育への接続を意識した,より「読む」ことにつなぐ教材として位置づけられていた。「実践」に関しては,現地の幼稚園調査から,多様な絵本蔵書,絵本の部屋の設置など,保育における絵本の位置づけは高く,保護者への絵本の貸出喚起など,絵本を介して子どもの育ちを園と家庭とで共に支える取組が,韓国の絵本環境の特徴として指摘された。 ②台湾の絵本環境:「理念・施策」に関して,平成24年度施行の「幼児教育及照顧法」,及び「幼托整合政策」を分析した。法を整備して幼保を一体化することで,就学前教育を標準化し,「教保(幼児教育と保育)」と「小」の一貫性を重視し,特に5歳児以上の準義務教育化を目指す施策が取られていた。子どもの読書事情は,子ども自身ではなく「本(絵本)」の購入者である保護者にアピールするため,保護者が期待する「ためになる読書」が強調されていた。韓国同様,楽しみとしての「本(絵本)」ではなく,小学校以降の学力につなぐ教材として絵本が捉えられていることが明らかになった。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究内容は,主に①韓国,及び②台湾の絵本環境について,(a)国レベルの調査を国内で実施した後,(b)幼稚園,(c)保育者レベルの調査は,現地幼稚園を訪問して実施する予定であった。しかし,②台湾での現地調査は,訪問先の都合により,実施することができなかった。そのため,台湾への渡航費用,台湾での調査データを文字化・翻訳するための人件費・謝金費用の支出がなくなり,次年度使用額が生じた。 平成26年度は,合計1,800,000円程度の研究費を使用予定である。研究費の中心は,①台湾・香港の絵本環境の訪問調査費と,②シンポジウムのための海外研究協力者3名の招聘費用である。 ①訪問調査費:台湾・香港への渡航費用と研究の成果発表・情報収集のための国内の学会・研究会参加費が主な用途である。その他,データを文字化・翻訳するための人件費・謝金,資料の分析・保存のための消耗品費,研究資料としての書籍代,学会参加の必要経費を以下の通り計上した。旅費:740,000円,外国旅費 500,000円,国内旅費 240,000円。人件費・謝金:300,000円(訪問調査時のインタビュー記録の文字化・翻訳料)。消耗品費:320,000円,プリンタートナー等120,000円,書籍200,000円。その他:94,000円,学会年会費14,000円,学会参加費80,000円。 ②シンポジウム開催費 共同研究者の招聘費用として旅費330,000円を計上した。
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