研究課題/領域番号 |
24600012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上田 毅 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90254648)
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研究分担者 |
石井 良昌 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00397978)
上田 真寿美 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30332810)
黒川 隆志 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40170104)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 投動作 / 動作認識 / 小学生 |
研究概要 |
本研究では,小学生の児童を対象に,投球動作の動作分析と児童による動作の自己認識を測定し,動きの自己認識と実際の動きの間の差異について検討することを目的とした.その結果,児童の動作は自己認識できたと答えた者の動作が必ずしも改善しなかった.逆に,できなかったと答えた者の動作が必ずしも悪化しているということもなかった.このように本研究の対象者は,必ずしも自分の動作を正しく認識できていないと考えられた. しかし,児童が最も注意したポイントからみた実際の動きを検討すると,①「肘を大きく使う」を最も注意して投げた者と,①「肘を大きく使う」以外を注意して投げた者との間には,肘の角度に有意な差が認められた.また,②「肘を肩よりも後ろに引く」を最も注意して投げた者と,②「肘を肩よりも後ろに引く」以外を注意して投げた者との間では,胸の角度に有意差が認められた.ただし,③「肘を肩のラインよりも上に上げる」と,④「腰をまわしたあとに,肩をまわす」では,最も注意した者と他を注意した者との間で,動作における有意な差異は認められなかった.このことは,自分の動作について,複数のポイントを並行して正確に認識することはできないが,注意するポイントを1つに限定すれば,自分の動作を正確に認識でき,指導に対して動作を改善することができると考えられた.こうした結果から,児童の動作を指導する際,一度に複数のポイントを指導するのではなく,ポイントを絞り,一つずつ定着させる必要があると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、走・跳・投の基本動作を学ぶ児童を対象に、彼らが課題となる動作をどのように実施し、認識しているかをバイオメカニクス的見地(時間・空間・筋電等の分析)から横断的に検討することが目的であった。今年度は児童の投球動作に限定して、研究を進めた。得られた結果は、指導者は、児童が躓きやすいポイントや指導のポイントを複数示すのではいけなくて、一つのポイントを明確にさせる必要があることが分かった。そのことが児童は自身の動作を科学的に思考する能力を向上させることにつながると考えられた。このように、今年度は児童の投球動作に限って、動作と動作認識の関係を明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、児童の投球動作を対象に検討したが、学習という観点から更に課題が残された。児童では複数のポイントを認識することはできなかった。それは比較的身近な運動だからできなかったのか、そもそも学習するうえで複数のポイントは認識できないのか、さらには成人でも同様のことが言えるのかなど、更なる検討が必要となった。 したがって、今後は走・跳の基本動作を学ぶ児童を対象に、彼らが課題となる動作をどのように実施し、認識しているかをバイオメカニクス的見地(時間・空間・筋電等の分析)を検討する。さもなくば、投球動作に限って、学習という観点から、投動作と動作認識はどのように発育発達するかについて、対象者の年齢幅を拡げて更に投動作の動作と動作認識の関係を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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