研究課題/領域番号 |
24600013
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
當眞 千賀子 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (60311148)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 子育て支援 / コミュニティ / 異年齢 / 発達 / 文化 / 保育 / 臨床 / 親子 |
研究概要 |
本研究は形成的フィールドワークを方法論として、親子の成長を支える子育て支援実践の創造的継承を可能にする実践システムを構築しつつ、その形成過程を明らかにすることを目的としている。 初年度である平成24年度は、親子が互いに育み合える関係を築くことを支える体験型の支援を実践する力量を身につけた保育士(以後「熟達保育士」)がその専門性を他の保育士に受け継ぐための実践の形成を試み、そのプロセスを記録した。本研究における熟達保育士は、これまでの研究において、申請者との協働を通して親子を育む体験型の支援を学んできた保育士である。 本年度の取り組みを通して、保育所の日常活動の中で支援実践を継承するには、それを可能にする保育所全体の体制を工夫する必要があることがわかってきた。まず、支援センター担当保育士配置上の工夫として、支援センターの担当者2名のうち1人は前年度からの継続者としたこと、また、熟達保育士を支援センターの隣の保育室の担当とし、その保育室も複数担当にすることで、熟達保育士が必要に応じてセンターに行って新担当保育士の学びを直接支援できるようにしたことが効を奏した。次に、子育て支援センターの活動内容やその意義を保育所の職員全体で共有し、センター担当保育士と他の保育士が相互協力できる体制を組むことで、子育て支援センターの活動と保育の融合を質的にも量的にも高めたことが継承のための実践づくりには欠かせない体制的特徴のひとつとなった。さらに、支援者の持ち味を活かした継承実践をどのように工夫したらよいか、また親子を育む支援の質を維持するために継承プロセスにどのような専門的サポートが必要かを実践を通して明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実践形成型の研究という性質上、形成過程で生じるさまざまな状況に創造的に対応しながら知恵を紡ぐことが重要であるが、今年度は当初の予想を超えた発見と継承実践形成過程での工夫を重ねることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、初年度の継承実践をベースとして、新支援担当保育士が自らの持ち味を活かした創造的継承を実現するために以下の実践形成的活動を展開しながら実践データを蓄積する。(a)新支援担当保育士は、初年度の体験を活かして親子育成的な体験型支援実践を試み、それをビデオ収録する。(b)熟達保育士は必要に応じて(a)の過程を観察(直接観察とビデオ記録を通した観察)し、実践をモニターしつつアドバイスを行い、その過程をビデオ収録する。 (c)申請者は、(a)、(b)の継承の過程を観察(直接 観察とビデオ記録を通した観察)し、継承の過程をモニターする。 (d)申請者と熟達保育士、新支援担当保育士で定期的にミーティングをもち、(a)~(c)を活かして、創造的継承が順調に進行しているところと問題点を確認し、協働して継承のための工夫を生み出す。このミーティングも録画し、継承実践形成過程のデータとして活用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度(24年度)の成果を踏まえて平成25年に計画している活動を展開するにあたり、現地での活動を手持ちビデオで追跡収録する研究補助者を同行するための旅費が当初の計画より必要となる見込みであるため、次年度使用額を充てることを計画している。
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