研究実績の概要 |
本年度は、昨年、自然災害のために十分な調査研究が行えなかった部分を補い、内外の青少年向けメンタリング・プログラムに関する文献分析と共に研究成果全体をまとめた。 海外のメンタリング・プログラムに関する政策分析として「米国連邦政策と青少年向けメンタリング・プログラムの効果」『日本生涯教育学会論集』36を執筆し、米国の連邦政策がいかに青少年向けメンタリング・プログラムの普及に努めてきたか、効果の実証とその課題を分析した。「米国における異年齢ピア・メンタリング・プログラム(Cross-Age Peer Mentoring Program, CAMP)に関する考察」『愛知淑徳大学論集-教育学研究科篇』第6号を執筆し、日本で殆ど知られていない学校型メンタリング・プログラムの一種である異年齢ピア・メンタリング・プログラムの概要を明らかにした。 本研究の中核にあたる青少年の生涯発達に及ぼすメンタリング・プログラムの効果については、これまで実施してきた報告書分析とアンケート調査、インタビュー調査に基づく成果の実証として、「メンタリング・プログラムが生涯発達に及ぼす効果に関する考察:広島市青少年支援メンター制度の成果を中心に」と題する口頭発表を行い(日本教育学会第74回大会)、青少年の生涯発達におけるメンタリングの重要性を明らかにした。 今後の青少年向けメンタリング・プログラムの課題については、古典の時代から今日にも及んでいるメンタリングのジェンダー的側面について、「メンタリングとジェンダーに関する考察」と題した口頭発表を行い(日本生涯教育学会第36回大会)、メンタリングの組み合わせに関する各ペアのジェンダー、メンタリング・プログラムの対象と需給、メンタリングとケアに関するジェンダー的課題について検討し、今後の青少年向けメンタリング・プログラムの在り方と可能性を論じた。
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