研究課題/領域番号 |
24600029
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
島田 義也 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線防護研究センター, プログラムリーダー (10201550)
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研究分担者 |
西村 まゆみ 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線防護研究センター, 主任研究員 (70218204)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 健康影響 / 小児 / 放射線診療 / 反復被ばく |
研究概要 |
本研究の目的は、現在社会的関心が高くなっている“こどもに対する放射線の健康影響”に対し、実験的なエビデンスを提供するとともに、病院における小児の放射線診療の実態を調査し、実用的な一般向けの解説書・パンフレットを作成することである。。 (i)こども期の反復被ばくによる放射線影響の蓄積性と低減係数に関する実証研究:24年度は、動物実験の設定ができなかったが、25年度前半に設定を終える予定である。 (ii)病院での医療被ばくの実態調査(倫理審査は、3病院で承認済み):千葉県の3病院について倫理審査の承認を受け、それぞれ過去4年と8年間にわたるCT診断をうけた15才未満の小児を対象に、診療記録やDICOM情報から、撮影条件,撮影部位に関するデータの収集・整理をはじめた。入力データは、連結可能な匿名化データに変換し、①診療の種類別頻度、②年齢別、性別頻度、③疾病別頻度、④CTのCTDIとDLPなどの撮影パラメーター、⑤患者別頻度について解析した。その結果、中間評価であるが、小児は頭部の撮影が最も多く、CTDIやDLPなどの撮影のめやす線量は、世界的な値に比べ頭部ではほぼ同値、胸部、腹部の撮影は低いことが確認された。現在、さらに1病院について倫理審査中である。 (iii)パンフレットの作成(患者用、医療関係者用):パンフレットは、患者の立場、医療関係者の立場にたって作成する必要がある。24年度は、患者や医療関係者はどのような情報が必要と考えているかニーズ調査をインタビュー形式で開始した。がんなどの特定の疾患を持っている患者の母親と、たまにしか病院に行かない一般のこども母親では、診療についての関心や知識のレベルや異なることがわかったので、入院患者(千葉こども病院)の母親と、病院にほとんどいかない母親(千葉県内の幼稚園や保育園の園児の母親)を別々に聞き取りするための予備調査を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
こども期の反復被ばくによる放射線影響の蓄積性と低減係数に関する実証研究のための、動物実験の設定開始できなかった。しかし、CT検査の実態調査については予定以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(i)動物実験は今年度前半に設定を終える。1週齢マウスを、0Gy,125mGy,250mGy,500mGy,1000mGyを4日続けて1回(合計4回の反復被ばく)、各群50匹(合計250匹)照射し、終生飼育を開始する。7週齢についても同様の照射を行う。 (ii)病院の実態調査を進め、学会発表を行い、論文にまとめる。 (iii)パンフレットには、患者のニーズ調査の論点をまとめ、倫理審査を通して、本格的に調査を始める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、病院での医療被ばくの実態調査に時間を使ったことと、動物導入後の動物飼育のスペース調整をおこなった。 ただし、パンフレットの原稿については、印刷段階まで来ており、また、動物実験についても、25年度前半で設定する。昨年度の繰越金は、動物購入とパンフレットの印刷に充てる。
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