研究課題/領域番号 |
24600033
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所) |
研究代表者 |
植田 紀美子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, その他 (60538081)
|
研究分担者 |
米本 直裕 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, その他部局等, その他 (90435727)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 療育 |
研究概要 |
障害児及びその家族にとって、居住する場所や利用する療育施設に関わらず、どこでも適切な療育を受けられることが望まれている。そのため、療育評価指標が必要である。本研究の目的は、療育による障害児家族の変化(アウトカム)を尋ねる質問票(日本版家族アウトカム質問票(Family Outcome Survey Japan version: FOS-J))を用いた療育効果の評価方法の有用性を検証することである。予定どおり、FOS-Jの信頼性・妥当性の検証を終えた。療育を現在利用している、もしくは過去1年の間に利用したことのある乳幼児の母親394人に、FOS-Jと母親及び子どもの背景因子等についての無記名自記式質問票調査を実施した。また、FOS-Jの内容的妥当性評価のため、障害児・家族支援に携わる専門家115人に対して無記名自記式質問票調査を実施した。335人から回答を得て、FOS-Jのすべての項目に答えた301人(平均年齢34.8歳)を解析対象とした。因子分析では原版と同結果を得た。高い信頼性係数を認め、基準関連妥当性、内容的妥当性を得た。 全国療育施設に対する療育実態調査のため、FOS-Jを含む調査票を作成した。その調査票をもとに、多くの療育施設が会員である全国児童発達支援協議会と調整を行った。全国規模で行う調査であり、結果普及の観点から協議会との事前調整が有用であると考えたためである。平成24年度は、協議会が厚生労働省の依頼を受けて、児童発達支援センター等に対して障害児通所支援の現状を調査・分析するとのことであった。調査が競合し、調査対象者が回答に際し混乱を来さないようにとの協議会からの依頼も考慮し、本研究の実態調査を平成25年度に伸ばすこととした。かわりに協議会調査の中で、本研究の主旨に準じる部分の二次分析を行うこととなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度実施予定であった全国療育施設に対する療育実態調査を平成25年度実施に変更した。本調査は、療育施設が会員である全国児童発達支援協議会との協働で行うことが重要である。しかし、平成24年度に協議会が厚生労働省から依頼を受けた調査を実施するため、やむを得ず本調査を延期した。ただ、平成25年度には、協議会の協力のもと実態調査を実施する予定である。 平成24年度実施予定であった海外視察についても、海外共同研究者(Dr. Bailey)のスケジュールが合わず、平成25年度に延期した。本研究に支障が生じないように、海外共同研究者とのメールのやりとりを通じて、海外のFOSの活用方法や障害児家族の状況等の情報を得ている
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度に実施予定であった全国の療育施設(約700箇所)に対して郵送調査法にて記名式自記式質問票による実態調査を行う。実態調査内容は、療育内容及びその評価法、障害児の年齢や疾病、障害特性、障害児家族の社会経済状況等の背景因子などである。調査期間は1ヶ月程度とし集計・分析し、全国の療育内容とその評価法の実態をまとめる。この際、療育現場で FOS-Jの試行が可能かどうかもあわせて問う。FOS-J試行実施が可能と回答した療育施設を、FOS-Jを用いて療育を提供する介入施設群と通常療育を行う対照施設群にクラスターランダム化する。介入施設群では、最初に障害児家族へのFOS-Jの実施してもらい、その回答に応じた後、6ヶ月の療育期間を経て、平成26年度に再度、FOS-Jを障害児家族に実施する。同時期に対照施設群の障害児家族へもFOS-Jを実施する。この時点で調査終了とし2群間の比較を行い、FOS-Jを用いた療育効果の評価方法の有用性を分析する。 研究分担者の米国視察調査は、海外共同研究者(Dr. Bailey)のスケジュールの都合上、25年度中を予定している。FOSを用いて、療育の質の向上、均てん化を進めている米国の状況を視察する。FOSを開発・普及し、各州療育施設での結果の集計と分析も行っているEarly Childhood Outcomes Center、また、FOSを取り入れている療育現場や州政府を視察し、Bailey海外共同研究者と視察内容をまとめるとともに、FOS-Jの普及方策についての提案を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
実態調査にかかる費用(郵送費、印刷代、入力費用等)、海外視察にかかる渡航費用、クラスターランダム化する際の療育施設と調整するための旅費や療育施設への参考本購入費費用などが主に要する費用である。
|