研究課題/領域番号 |
24601002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 守 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (10595573)
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研究分担者 |
千田 浩一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20323123)
盛武 敬 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50450432)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 患者被ばく線量 / ガラス線量計 / 心臓CTの被ばく線量 / 血管撮影時の被ばく線量 |
研究概要 |
今回の研究に使用した小型線量素子である蛍光ガラス線量計(RPLD)は、通常エネルギ補償を目的に錫フィルタが装着されている。しかし、錫はX線不透過で臨床時画像の陰影となるため、今研究では錫フィルタ無しのRPLDを用いる事とし、各使用装置におけるRPLDの諸特性を測定しエネルギ校正定数を算出した。 血管撮影装置やCT装置はメーカ・機種ごとにX線線質変換フィルタが装着され、フィルタの材質・厚さによりX線エネルギが異なり、画像コントラストや患者被ばくに影響を与えている。今回使用する血管撮影装置及びCT装置の使用管電圧における実効エネルギをAl半価層法を用いて測定した。 錫フィルタ無しのRPLDと使用装置との線量特性・線量率特性・方向特性・実効エネルギ特性を測定した。RPLDとリファレンス線量計として使用した電離箱線量計を比較した結果、小線量から大線量まで、小線量率から大線量率まで其々の測定値は非常によく一致した。方向特性に関しては、RPLDの長軸と平行に入射するX線の検出効率は低下したが、その他はリファレンス線量計とよく一致した。RPLDの使用方向を考慮することで問題ないと考える。実効エネルギとRPLD感度の関係を検討した結果、機種間によらず実効エネルギとRPLD感度は良い相関が認められた。また、実効エネルギが高くなるとRPLDの感度は少し低下する傾向があった。この感度低下は補正係数を用いて校正可能と考える。 患者被曝線量測定用の装具(患者が着用し多数のRPLDを一定間隔で配置できるようにしたもの)は、吸湿性・伸縮性を考慮し装具生地を選択し、装具サイズは標準体型を参考とした。RPLDの配置を最適化した結果、RPLD(ポケット数)は血管撮影時の最大入射面となる背面に67個必要となった。その製作には特殊な技術を要するため、専門メーカと検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
使用装置の諸特性の測定を終え、おおむねRPLDの傾向がつかめた。 患者被曝線量測定用の装具の開発も順調であるが、まだ試作段階である。ファントム実験を繰り返し、改良点を修正したい。特に装具に装着したRPLDが脱落する場合があり、ポケット形状に一工夫が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
患者被曝線量測定用の装具の開発と胸部ファントム実験を行い、臨床測定に向けた問題点抽出・改善を行う。また、胸部ファントムでシミュレートし得られたRPLDデータと従来試みられてきた測定法や血管撮影装置・CT装置のパラメータ(透視時間・撮影フレーム数・DAP・累積線量・CTDI)との関連性を解析する。 臨床における血管撮影時と心臓CT時の患者被曝線量データを収集する。(同意の得られた患者に対し、RPLD装具を着用してもらい、線量測定を施行する。) 初期データを関連学会(日本放射線技術学会、日本インターベンショナルラジオロジー学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本循環器学会、北米放射線学会など)にて成果の発表を行い、意見交換を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
患者被曝線量測定用の装具の開発・購入費を計上した。装具は可能であれば複数着購入したい。また、使用するRPLDの購入費を計上した。 収集した被ばく線量データを2D又は3Dマップ表示させるソフトを開発するために、専門的知識の提供を予算計上した。 関連学会での成果の発表及び意見交換のための旅費を計上した。 次年度使用額は、今年度の研究を効率的推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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