研究課題
インターベンショナルラジオロジー(IVR)は、外科的手術法と比べて侵襲が少なく、心臓領域での施行件数は年々増加傾向にある。しかし、心臓IVRには難易度の高い症例も少なからず存在し、透視時間の延長による患者の被ばく線量増加を要因とする放射線皮膚障害が依然と報告されている。近年、CT装置の飛躍的な発展により、心臓IVRの術前・術後検査に非侵襲的なCTが多く用いられるようになった。心臓CTはX線ビーム幅を薄くして心臓全体を細かく撮影するため、他部位のCT検査に比べ患者の放射線被ばくが多く問題となっている。心臓IVRと関連して心臓CTが行われる場合、両者の被ばく線量が相加的に影響を及ぼすことになる。しかし、CT装置の被ばく管理値は、臨床時の患者被ばく線量と直結しておらず、心臓IVRの被ばく線量と互換性が無く総合管理できない。本研究では放射線皮膚障害防止を目的として、多数の蛍光ガラス線量計を用いて直接患者皮膚線量を測定するシステムを開発し、心臓CTと心臓IVRの被ばく線量を総合的に管理するシステムを新たに開発することを目標としている。これまで、蛍光ガラス線量計と血管撮影装置およびCT装置のX線との諸特性を測定し、校正定数を算出した。更に、蛍光ガラス線量計を貼付し、IVR時に患者が装着する胸部装具を開発した。蛍光ガラス線量計と胸部装具を用いて、臨床時の患者皮膚線量を実測し、有用性を確認した。本年度は、CT時に患者が装着する胸部装具を開発した。蛍光ガラス線量計とIVR装具・CT用装具を用いて、患者の入射皮膚線量を加算し総合管理するシステムを開発した。解析結果の一部を国内学会で発表し、CyPos賞を受賞する事が出来た。このシステムを用いる事で、患者の放射線障害の防止、しいては術者の被ばく低減にも貢献することが期待される。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件)
日本放射線技術学会雑誌
巻: 70 ページ: 814-820
10.6009/jjrt.2014_JSRT_70.8.814
INNERVISION
巻: 29 ページ: 28-29