研究課題/領域番号 |
24601004
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
工藤 博幸 筑波大学, システム情報系, 教授 (60221933)
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キーワード | 医用画像 / PET / マルチモダリティ / イメージング / 画像処理 / 画像再構成 / 画質改善 / MAP推定 |
研究概要 |
本研究では、将来のPET装置がMRI/CT形態画像を同時に撮影するマルチモダリティ化の方向に進むことを想定して、新しいコンセプトの画像再構成法や画像処理法を開発することを目的とする。平成25年度は、以下の2つの小テーマについて研究を実施した。 (1) 病変検出機能をもつ計算機支援診断(CAD)統合型画像再構成法: PET腫瘍検査で対象とする画像を正常な臓器を表す正常画像bと腫瘍を表す疎な(値が非ゼロの画素数が少ない)病変画像sの和で表す新しい画像モデルを考案して、正常画像と病変画像の各々の性質に応じて別々の正則化を施して2変数逆問題を解きbとsを分離して推定する新しい画像再構成法を開発した。そして、島津製作所が開発中の飛行時間差(TOF)を測定するフレキシブルPET-MRI装置を想定したシミュレーション実験を行い、提案手法により正常部の雑音抑制と病変部のコントラスト保存を両立した病変検出がしやすい高画質の画像生成が可能となることを示した。 (2) 近接スプリッティングを用いたブロック反復型統計的PET画像再構成法: 平成26年度に開発を行うリストモードデータを用いたワンパスリアルタイム画像再構成法の前段階として、ヒストグラムモードデータからの高速収束性をもつブロック反復型画像再構成法を構築する新しい数学的枠組みとして、数理最適化分野における近接スプリッティングを用いることを考案した。具体的に、この枠組みを用いることで高速収束性をもつ3種類の異なるブロック反復型画像再構成法が体系的に構築可能なことを示した。そして、腹部PET画像の数値ファントムを用いたシミュレーション実験を行い、いずれの手法も反復2~3回で最尤推定解に近い十分な画質の再構成画像が得られることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、平成25年度は病変検出機能をもつ計算機支援診断(CAD)統合型画像再構成法の研究のみを行う予定であったが、時間に余裕があったため、平成26年度に予定しているリストモードデータを用いたワンパスリアルタイム画像再構成法の前段階である近接スプリッティングを用いたブロック反復型画像再構成法の研究まで実施することができた。更に、シミュレーション実験による性能評価の結果などから、近接スプリッティングを用いた枠組みはPET画像再構成分野において革新的に新規性や有効性が大きいものと考えている。この点に関しては予想以上の進展があった。しかし、一方で平成24年度に不完全なままやり残していたフュージョン画像再構成法の研究を完成させることに関しては、あまり進歩がなく論文化するまでに至らなかった。この点はやや遅れている。総合的には、当初の計画以上の進展があった部分とやや遅れている部分があったため、概ね順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、平成25年度に開発した近接スプリッティングを用いたブロック反復型画像再構成法をリストモードデータに拡張して、データ収集と画像再構成の計算を同時に行いデータ収集後直ちに医師に画像を提示することが可能なワンパスリアルタイム画像再構成法の研究を実施する。また、平成24年度に不完全なままやり残していたフュージョン画像再構成法の研究を完成させ、論文発表することを目指す。推進にあたっては、NEDOのプロジェクトでマルチモダリティ対応フレキシブルPET装置の開発を共同で行っている島津製作所と連携しながら進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費に644,970円の未使用額が発生した。これは、1) 病変自動検出機能をもつ計算機支援診断(CAD)統合型画像再構成法の研究成果を国際学会で発表する際に相談して他機関の共同研究者が行うことになり海外旅費が不要になった、2) 購入予定であった高価格画像表示ソフトウェアを他経費で調達できた、の2点が主な理由である。 未使用額は平成26年度に主に成果発表のための旅費として使用する予定である。未使用額を除いた平成26年度の研究費は1,000,000円であるが、ほぼ申請書に記載した予定通りに、ソフトウェア・ノートPC・コンピュータ用品・旅費などの用途に使用する計画である。
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