研究課題
回転型強度変調放射線治療(volumetric modulated arc therapy:VMAT)は,治療中に診断用kV-X線および治療用MV-X線の投影画像からコーンビームCT(cone beam CT:CBCT)画像を再構成することが可能であり,治療中の臓器の位置を同定することが期待されている.本研究では,VMATを用いて体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiotherapy : SBRT)を実施し,治療中における対象内の構造を同定した上で,実際に標的に与えられた吸収線量および対象内の線量分布(実線量分布)を評価することを最終的な目的とした.本年度は以下のことを実施した.(1)VMATは治療中に対象の投影画像を収集可能であり,投影画像から呼吸曲線を取得した.同時に治療中の照射制御パラメータのログを保存し,分割した呼吸曲線とログデータと対応させた後,治療計画装置を用いて計画用CT画像の各位相で線量計算を行った.計算結果において,アイソセンタの線量,最大線量,標的の重心線量を評価した.この3点において治療計画時の線量と差異が観察されたが,臨床上許容される範囲で一致した.(2)治療中の診断用kV-X線の投影画像からCBCT画像を再構成し,対象内の構造を同定した.同定後,CBCT画像に各組織のCT値を線量計算を行った.計算結果と治療計画時の線量に差異が観察され,検討を行った.(3)非剛体レジストレーション(deformable image registration : DIR)用いて合算した治療中の線量分布の作成した.合算した線量分布と治療計画時の線量分布とを比較した結果,線量体積ヒストグラム(dose-volume histogram : DVH)において差異が観察された.内的標的体積においては計画に準じた線量が投与されていたこと,計画標的体積の周囲では変位ベクトルが大きい領域に線量差が出やすかった.
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日本放射線技術学会雑誌
巻: 70(11) ページ: 1225-1234
Radiation Oncology
巻: 9 ページ: 243
10.1186/s13014-014-0243-1
http://www.u-tokyo-rad.jp/works/index.html