研究実績の概要 |
平成24年度にピンホールカメラの基本構成部品(検出器、コリメータ、遮蔽体)の購入、製作を行った。平成25年度は予備試験で分かった中性子バックグラウンドを低減するために中性子遮蔽の大幅な改善を行った。平成26年度はこれまでに製作したコリメータ、遮蔽体、ガンマ線検出器を組み合わせて、実際に加速器中性子源を用いた総合試験を行った。実験には東京工業大学原子炉工学研究所のペレトロン加速を用いた。7Li(p,n)7Be反応により中性子を発生させた。試験用ファントムとして水を満たした円筒容器を用い、中性子を照射した。水中には2つのホウ素濃度の高い領域を設けた。10B(n,a)7Li反応から発生する478keVのガンマ線をコリメータを通してガンマ線検出器で測定した。 平成25年度に中性子遮蔽を強化したおかげで、信号対バックグラウンド比を大幅に改善した状態で総合試験を行うことができた。検出対象とするガンマ線エネルギー478keV付近のバックグラウンドを低減することができた。実験ではファントムを回転させ画像再構成に必要な複数枚の射影像を取得した。実験後、オフラインのデータ解析により取得した射影像からファントム中での中性子ホウ素吸収反応の分布を再構成した。再構成には逐次型のアルゴリズムを用いた。得られた空間分解能、計数率、信号対バックグラウンド比から性能を評価した。これらの知見を今後のオンライン線量評価システムの開発に生かす。
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